第34話

なんというか面倒見がいい。


芹沢くんに好きだと言ってもらえるピーチ炭酸が羨ましい。って、なんで物に対してこんなこと思ってるの、私。


ハッとして首を振って正気を取り戻す。



交換してもらったプリンジュースの蓋を開けて、ひと口飲んでみる。




「っ!!」


「どう?」


「甘くて美味しいっ!」




プリン本来の卵とキャラメルの良さがあり、ぷるんとした食感から液体に変わっているのは新鮮だ。


ちなみにかなり甘いから私みたいに甘いものが好きじゃないと胸焼けするかも。


ずっと飲んでたら糖尿病にはなりそう。


疲れた時とかたまに飲むのが良いかもしれない。




「ひと口いる?」




今度は芹沢くんが私のことをじっと見つめてきたからこてんと首を倒すと、




「……大丈夫」




僅かに表情が固まる。




「…あ」


「そういうのは男には言わない方がいいとは思う」


「………う、ん」




は、恥ずかしい。


かぁっと頰が熱くなる。


つい美味しさのあまり女友達と接するような感覚で話してしまった。

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