第33話

「これ飲む?まだ口つけてないし」


「え?いや、大丈夫だよ」


「ずっとこっち見てたから欲しいのかと思った」




ぼんやりと芹沢くんに見とれていると、体ごと私の方に向けてくる。


至近距離のせいか、自分の汗の匂いが気になってきた。


見つめすぎは良くなかった。



固まっている私の顔を覗き込み、




「熱中症?」


「ううん!えっと、芹沢くんは何買ったの?」


「プリンジュース」


「えっ!何それ!?」


「珍しいと思ってなんとなく買ってみた」




そう言って私の前に差し出されたのは名前通りのプリンの写真が載ったボトル。


コンビニでも見たことないのに、自販機でこういうの売ってるんだ。




「……美味しそう」


「やっぱ交換する?」




甘いもの好きとしてはぜひそのプリンジュースを味わってみたい。




「じゃあ、交換してもいい?」


「花房は何買った?」


「ピーチの炭酸!」


「俺、それ好きだから交換しよ」

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