第31話
誰が負けたんだろう、と思いながらお金を入れる。
1番上の列の右から2番目のボタンを押す。
ガコンと音を立てて取り出し口に現れたのは、期間限定のピーチの炭酸水。
炭酸はたまに飲みたくなる。
特に夏は。
ひんやりと冷えたボトルを掴んで、芹沢くん達の方を見ると楽しそうに笑っている。
「…あ、芹沢くんが負けちゃったの?」
「そうそう!あいつ、いつも負けねえのに今日は珍しく1発で負けてんの!」
勝てたことが嬉しいのか吊り目男子は目尻を下げてニコニコしている。
唯一楽しくない芹沢くんはというと、パーにした自分の手のひらを見つめたままだ。
そして顔を上げて視線がぶつかり合うと苦笑いを浮かべ、渋々と財布からお金を取り出す。
マンゴージュース、コーラ、林檎ジュースと色んな種類の飲み物が買われていく。
「なぁ今度は食堂のメニュー奢りをかけてしよーぜ」
「げっ、ぜってえやだ!!次はお前が勝つじゃん!」
芹沢くんの提案に周りは飲んでいた手を止めて、ぎょっとする。
案外負けず嫌いなのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます