第11話

「頼まれちゃったね」


「うん、頼まれちゃった」




昼休みが終わってからでいいと言われたけど大した時間はないからのんびり食べてはいられない。


ささっとお弁当を食べ終えて取りに行こう。


まだ手を付けていなかった唐揚げを口の中に放り込む。


最後にペットボトルの水を飲んで喉を潤し、立ち上がる。




「…ふぅ、さてと行きますか」


「私手伝おうか?」


「ううん。1人で大丈夫だよ、ありがとう」




廊下に出れば夏特有のモワッとした空気に包まれてさっきまでいた教室がどれだけ快適だったのか知る。



これからの季節はいかに可愛く暑さを乗り越えられるか、だよねぇ。


長い髪をポニーテールにして、スカートを折って。



頰にかかる毛先を摘んで通りかかった扉のガラスに反射する自分を見てみる。




「この姫カットは下ろしてる方が可愛いんだけどな。まぁ、自己満で切ったやつだしいっか」




ひとつに結ばないと首の後ろが暑い。

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