第10話
確かに三奈は推し語りがヒートアップすることがよくある。
それを私に引かれてないか心配そうに聞いてくることがあるけど、全くそんなことない。
というか私も一緒に語れる相手欲しいもん。それに絶対私の方が目の前のことに夢中になり過ぎる気がする、多分。
「
大丈夫だと伝えようと口を開けた瞬間、大声で呼ばれたのは明らかに私の苗字だった。
教室にいるクラスメイトの視線が一気に私へと集まる。
あれ、私なんかやらかしたっけ?
ポカンとしているうちに教室をキョロキョロと見回していた担任が私を見つけて、ズカズカと歩いて来る。
「確か今日の日直だったよな?」
「…あ、そうでした!」
「もう1人は?」
「黛くんですけど今は教室にいません。食堂にご飯食べに行ってると思います」
「じゃあ、すまんが次の授業で配るファイルが入った段ボールを5階の準備室から取って来てくれ」
私と三奈がいる机のところまでやって来ると申し訳なさそうに頼み込んでくる。
もうすぐ50代に突入する担任は少し前にぎっくり腰になって最近になって良くなったと朝のHRで言ってた。だから荷物運びを頼んできたのか。
「お昼食べ終わった後でいいからよろしくな」
そう言って早々と立ち去ってしまう。
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