サンドイッチ

第7話

■■■■







「・・・貴女は何者です?」






そっと耳元で囁かれる。


その乱雑に散った髪が頬を撫でる。





「ちょ、ちょっとちょっと!!ま、待って!」





しまった、食べられてしまう!!



背筋がひやひやと氷ついていく。


彼の姿が脳裏にちらつく。




くっそ~!楠木さん、一生恨んでやる!!





もう絶対許さないんだからっ!!






「と・う・こ~っ!!」







突然自分の背後から湧いた声に、心臓がぎゅっと収縮する。



はっと息を飲んだ瞬間、東湖さんは私から離れて地面に崩れ落ちた。





「な・・・」





呟いた瞬間、今度は後ろから羽交い締めにされる。





もしかして、刺客?!



さっきの話を聞いていたかもしれない。





私が『雛鶴』だって知ったのかもしれない!!!







「は、なしてっっ!!」




空いていた右腕を振り上げて、背後で私を羽交い締めにしている人のお腹に肘鉄をくらわせる。




油断していたのか、綺麗に急所に入ってその人は後ろに倒れこんだ。




体が自由になったのを感じて、私は山越えで使っていた杖を竹刀代わりにしてその人に向って振り下ろす。






「貴方、何者?!」







ぴたりと、座り込んだその人の頭上で竹刀を寸止めさせる。




その人はお腹を抱えながら、それを呆然と見ていた。






「何者って、聞いてる・・・」




「あっはっはっはっっ!!!ざまあみろ!左虎っ!おなごに負けてどうするつもりですか!今お前の頭はかち割られましたぞ!!死にました!絶対今お前は死にましたよ!」







げらげらと、私の言葉を遮って東湖さんは大笑いする。





さとら?





え?





もしや知り合い・・・?






自分の顔から血が引いていく音を聞いたような気がした。

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