第27話
「貴方、女の子だったら誰でもよかったんでしょ?」
呟くと、彼は私を見た。
目が合って、射すくめられる。
「・・・そうだな。でもそんなようなものだろう」
認められてもなんだか複雑だったけれど、そのほうが話しが早い。
「私はね、本当に好きな人とじゃないと嫌なの」
眉が歪む。
怒ったかなと思ったが、自分の身を守るのが最優先だろう。
「おかしな考え方だな」
こ、この考え方がおかしい?
思わず目を見張る。
「お前がそのような考え方をしているのなら、家は大丈夫か?」
その返答を聞いて、呆気にとられる。
ど、どういう意味?!!
なんで私と私の家が関わってくるのよ?!
彼は起き上がって私の前にあぐらをかいて座った。
じっと見つめてくるが、その瞳は歪んでいる。
この人、本気で私の家のことを心配しているじゃないの!!
「もしや、お前のせいで家に被害があったか。それで一人行き倒れか?」
「なんでそうなるのよ!!!」
思わず怒鳴っていた。
一体全体、どうなっているのか全くわからない。
「家に被害なんて、なんでそうなるのよ!!貴方が連れてきたんじゃないの!!!帰してよ!!お願いだから元の時代に返して!!!」
そう。
貴方が連れてきたんじゃないの!
きっとおかしな術でも使って、偶然あの場所にいた私を連れて行ったんだわ!
何だかこの時代は、非科学的だから!!
しかも何だかおかしなことばっかり言っているから!!
「何を申すのだ」
「貴方がおかしな術でも使ったんでしょ?!!帰して!私、帰りたいの!!!帰りたい・・・!!」
帰りたい。
叫んで初めて、それを切実に望んでいることに気づく。
帰りたくてたまらない。
温かい、あの場所に。
お父さんも、
太一兄ちゃんも、
月子も、
大和も、
頼人も、
夕もいる場所に帰りたい。
私を探しているだろうか?
突然消えた私を。
もう愚痴なんて言わない。
家のこと、しっかりやるし、恋なんてしなくていい。
そう誓うから、だから。
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