第26話
夏の太陽は、長く長く空に留まる。
まだまだ明るい太陽がテラスに明かりを注ぎ込んで。
私はリクライニングを起こし、辞書を膝の上に乗せつつ、お土産の英文学の本をを読み始めた。
コウくんは英文学が好きで書斎に沢山本はあるけれど、私が読むには難し過ぎて。それを言ったら、少し簡単な本を現地で買ってきてくれた。
わからない単語も、文脈に任せて勝手に訳す。何度も出てくるわからない単語だけ、辞書を引いて。
太陽がだいぶ落ちてきた頃、隣でじっと寝ていたコウくんがもぞり、と動いた。
「コウくん、起きた?」
「なにしてんの?」
「本読んでる」
サイドに置いてあったミネラルウォーターを手渡すと、コウくんはごくりとそれを飲んだ。上下する喉仏から視線を外す。
「腹減ったな」
「もうそろそろ準備してくれてるんじゃないかな?ダイニングいく?」
そうだな、と立ち上がると、コウくんは気持ち良さそうに身体を伸ばした。
そのままリクライニングチェアをリビングに入れて、私は南側の窓を全て閉じる。その間にコウくんはクーラーを付けているようだった。
ふたりでダイニングへと行き、朝と同じように向かい合って、朝子さんが運んできてくれた相変わらず美味しい第二邸のコックさんの料理を頂いて。
「そういえばそろそろ文化祭の準備始まるよな?」
私が通っている、そしてコウくんの母校である瑛茗大学付属高等部。10月の終わりに大規模な文化祭があり、8月の終わりの夏季課外から準備が始まる。
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