第27話
「す、す、好きだよ!?」
ギュッと目を瞑って、あたしは語尾を上げた。
…。
シーン
その場の空気が凍てついて、王子の反応も返事も返ってこないのであたしはそっと目を見開く。
「…?」
すると、王子は両肘を脚に乗せたまま、声を押し殺して笑っていた。
(なんでーーーーー!?怒)
くくくっと手で軽く額を押さえて、王子が笑っている。
「もしかして勘違いしてんじゃね?俺が言いたかったのは、“マミヤの気持ち知ってて何引き受けてんだよ”ってこと」
あたしはその言葉にガボーンっと顎を外してしまう。
王子はいつも主語がないから、あたあたあたし、勘違いしちゃってこうやって墓穴を掘ってしまう。
真っ赤なトマトになったあたしを見て王子が頭を撫でた。
「気持ちはよく伝わった」
フッと片方の口角を上げて笑う、あの笑い方。
あたしは再びカッと頬が染まる。
「でも」
そして続いた低い声にあたしは王子に視線が止まる。
「これ以上、陽聖に関わるな。分かった?」
さっきまで笑っていたのに、今はピクリとも笑っていない。
あたしは染まっていた頬がサッと色味を失うのを感じた。
そして今、ただ後ろの席を確認しただけなのに、冷たい視線を浴びせた王子。
だってそんな言ったって、やっぱり気になるんだもん!
しょうがないでしょーーーー!?
さて、異国の地、恋の摩天楼まで残すところ12時間ジャスト。
フライト中に何も起こらないことを祈るのみ。
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