第28話

「あのね…気になるの。克穂と蜜ちゃんのこと」



王子の瞳を見つめて、あたしは気持ちを伝えた。



言えた。



ちゃんと真剣に、真っ直ぐ王子の瞳を見て。




その言葉を聞いて、王子はゆっくりと体ごとこちらに向き直る。




クスリと笑みを落とし、王子は徐々にあたしの顔へと視線を持ち上げた。




「珍しいじゃん」



「んっ!?」



「千亜稀がそんなこと言うの珍しい」




そうなんです。



こんなこと王子に伝えるの初めてで、あたし、異様にドキドキしてますっ



そう言われると余計に恥ずかしくなって、あたしはもじもじと指を遊ばせる。



視線も落として、指を押し合いながら唇を尖らせた。



「だってさ…」



王子の方を見れない。



指摘されて、ますます恥ずかしさが募ったから。




「気になるって例えば何が?」



王子はそんなあたしに近づいて、あたしの足の間に長い足を絡ませた。




あたしはその態勢に思考回路が全停止する。




王子の腕はドアへと伸び、いつも追い込まれてしまうあたしがいる。



視線を持ち上げる。



ああ!


眩い光を味方につけて王子があたしを見下ろしている。



ギブです!


心臓持ちませんっっ

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