秘色と少しのセンチメンタル
第30話
◇ ◆
お昼休み。雨の日しか使用されない小さな第2体育館、の裏側。
3人の女に呼び出され、囲まれるわたし。
「人の男に色目使ってんじゃねえよ!」
「だれのこと?」
「ウチの彼氏だよ。おまえが昨日の夜から朝までずっと一緒にいた男!」
「……ああ。色目なんて使ってないよ」
「嘘つくなや!!」
嘘じゃないよ、本当だよ。
昨日の夕方、家に帰りたくなくてひとりで公園のブランコに座っていたら、年上っぽい学ランを着た男2人に声をかけられて、そしたら家おいでって言うからちょうどいいやって感じでついて行っただけ。
そのうちのひとりとは流れでえっちしちゃったけど、その男に彼女がいたなんて知らない。
それに、
「わたしその人に好きだから付き合ってって言われたよ。あなた本当に彼女?」
「、は……?」
「もしかして付き合ってるって思ってるのはあなただけじゃない?」
「っ白石おまえ、」
「それともあの人が最低なのか、どっちかだね」
ま、わたしにはどっちでも関係のないことだけど。
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