第13話

真守の体が離れた。きちんとケアしているのか綺麗な指先が悲しい跡を拭い、両手でわたしの両頬を掬い上げるように包み込む。


……一緒に住まない、って、それは、




「す、住まない」


「なんで?」


「真守とは、住まない。だって、いつかわたしのせいで真守まで、」


「俺がすげえ幸運の持ち主だって忘れたの」


「っでも、」


「ゆるの不幸なんて俺が吹っ飛ばすよ」


「、」


「だから余計な心配すんな」




ぐしゃりと髪をかき乱すその手のひらは、日曜日のひだまりのようにあたたかくて優しくて、安心する。


そんな真守は、今ではわたしの、たったひとりの大事な人。



……いい、のかな。またわたしのせいで、よくないことが起こるかもしれないのに。


真守にだけは、迷惑をかけたくないのに。

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