第4話 夏催い(なつもよい)

『淋しいですか』

『淋しいですね』


毎日がグレーに塗りつぶされて

吐息を吐く余地が何処にもなくて

ブラックならあきらめがつくだろうと

ブラウンならがまんできるのではないかと

どこに行ったらいいのですか

この淋しさの捌け口を

見失ったものと 見捨てたものの

その境目のおよそ小さな糸くずのように

まだるっこい真実(ほんもの)よりも

形にはまった偽物(ごまかし)がいいと


『淋しかないです』

『淋しかあ……』

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