とある国の
強田餅【きょうでんもち】
とある国の 序章 二人の王と一人の旅 それと一つの大木
第一話 とある国
「 ここはどこか遠い遠い、とある国。
島が5つほど合わさった、とある国。
その歴史は長く、人口も多い。また産業、貿易ともに盛んな、とある国。
この国の中心の島には、文化の根と呼ばれる大木がたたずんでおり、この国の長い歴史とその知識を宿しています。また、この国に住む人々の中には特別な能力が備わっている者がおり、他の世界の常識では説明がつかないような変化を起こすことができるという。
この国は、文化の根が存在する中央の島と北に存在する島をクロノテージ王が収めており、その他三つの島をサイショ王が収めている。一つの国に王が二人いるが、北側と南側でその特徴は異なっている。北側を治めるクロノテージ王は、文化の根を占拠しており、この大木の記憶を得ようとしている。南の王であるサイショ王は、芸術・文化を保護するために働いている。
クロノテージ王は、以前に派遣した兵の情報により、この国の外に大陸があると知り、そこへ行くために移動手段となるモノや食料、自身に従う者を集めるための道具を用意しようとした。その目的の達成のために奴隷制度を検討し、国中の人々を攫うことで食料製造の人員を確保しようとした。
また、クロノテージ王の能力「記憶」によって、文化の根に蓄えられたこの国の様々な記憶を本に変え、新たな大地へ持ち出そうと考えていた。さらにクロノテージは、能力によって抜き出された本のいくつかを、とある人物に与えることによって芸術作品を生み出すことができる人物を作り出そうと考えた。その過程で奪われた芸術・文化に関する記憶の書である「文化の根」は現在、とある人物とともにサイショ王に匿われている。
クロノテージ王の策略に対し、この国を守ろうとするサイショ王は、その人物をアルトと名付け、各芸術分野に造詣が深い人物と出会い、クロノテージの策を止め、大木から失われた記憶を戻すための冒険をするように言いつけた。
この世界で生きる者・モノは、記憶が失われることによって徐々に生命力が失われていくため、クロノテージ王の策略はとても危険なものであった。この国に深く張り巡らされた文化の根の記憶が抜き取られるということは、その生命力を失うということになり、5つの島が崩壊する可能性を有している。
サイショ王の言いつけに対し、アルトは次のように言った。
「私はこの国に生まれたということについて、極めて誇らしく感じます。そのため、この国を守るという大義に従うことは当然のことであります。私の持つ「言葉」の力でこの国を守って見せます。」
クロノテージ王の旧友であったサイショ王は、彼が芸術に関心があったことを思い出し、文化の根の解放と記憶の返還を求めるためには各芸術分野の力を使った説得が有効であると考えた。
彼の目的は、「文化の根」という記憶の本を文化の根に返還すること。クロノテージ王が占拠する文化の根を開放するため、各芸術分野に造詣の深い人物を仲間にすること。
しかし、広い島国を旅するためには船も必要です。果たして、彼は無事にこの国を
守ることができるのだろうか。
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