レポート

  現代人類の霊子及び魂に対する認識について

         仁代 美夏

          サリエ

1 要旨

  現在の地球上の人類における霊子及び魂に関す

 る認識については、霊子濃度の低下、人々の霊子

 及び魂への関心の希薄化等の要因により年々低下

 しているものてまある。

  またその様な中で、現代日本における霊子及び

 魂に関する認識については一定の低下は見られる

 ものの、他の地域と比較して低下の度合いが緩や

 かであると認められた。

  主な要因として、生活に根差した霊子や魂に関

 する儀式や術式の存在が挙げられるが、此度の調

 査においてより実生活に密着した生活様式が霊子

 及び魂の認識に深く関わっているることが示唆さ

 れた。

2 はじめに

  霊子の濃度や魂の質については上位神により創

 造されて以来、濃度や質の低下が観測されている

 所である。

  本来的には人間を含む魂を宿す者達の在り方に

 より、濃度や質の上昇も見込まれていたものであ

 るが、産業革命以降、特に人間の中における霊子

 及び魂の認識が低下、更に植物や動物の伐採、狩

 猟等により、地球全体の濃度や質の低下を招いて

 いるものと推察されている。

  現状のまま霊子濃度及び魂の質の低下が続いた

 場合、霊子世界と物質世界の均衡が保てなくなり

 、この世界そのものの崩壊を招きかねないと危惧

 される。

  そこで、現在の地球上において比較的霊子の質

 及び濃度が高いとされる地域と低いとされる地域

 の人間を対象とした、霊子及び魂への認識、並び

 に質と濃度について観測し、比較検討することと

 した。

3 対象と方法

  対象とする地域は比較的霊子の質及び濃度が高

 い地域として、日本の農村部の人間の中から無作

 為に抽出した各年代の男女1万人を対象とする。

  比較的霊子の質及び濃度が低い地域として、北

 アメリカ地域の都市部の人間の中から無作為に抽

 出した各年代の男女1万人を対象とする。

  まず各地域の霊子濃度及び霊子の純度を測定す

 ると共に、その地域における人以外が行う儀式や

 術式(以下「儀式等」と言う。)等の総量を算出

 する。

  また、各対象の人物における霊子及び魂への認

 識深度を測定し、更に個人及び集団等が行う儀式

 等の総量を算出する。

  各々の数値を比較検討することで、霊子及び魂

 の質と濃度と各儀式等の間に相関関係があるか否

 かを比較検討する。

4 観測結果

  日本の農村部における霊子濃度の平均値は0.3、

 霊子純度の平均値は0.6となり、儀式等の総量につ

 いては、約1150億rpとなった、各地域別の数値

 については図1に示すとおりである。

  北アメリカ地域の都市部における霊子濃度の平

 均値は0.03、霊子純度の平均値は0.1となり、儀式

 等の総量については、約120億rpとなった、各地

 域の数値については図2に示すとおりである。

  日本の農村部における人間の霊子及び魂に対す

 る認識深度の平均値は深度10であり、各儀式等の

 総量は約600億rpとなり、各年代男女別の数値

 については図3に示すとおりとなる。

  北アメリカ地域の都市部における人間の霊子及

 び魂に対する認識深度の平均値は深度2であり、

 各儀式等の総量は約120億rpとなり、各年代男

 女別の数値については図4に示すとおりとなる。

 

5 考察

  日本の農村部と北アメリカ地域における霊子濃

 度については10倍の差、霊子純度においては6倍

 の差、儀式等の総量全てにおいても約10倍の差が

 認められた。

  農村部における霊子濃度と儀式等の総量が都市

 部より10倍の濃度及び総量がある事については、

 土地あるいはそこに根ざす植物又は生活する動物

 等による儀式等の総量の差が如実に現れていると

 考察される。

  つまり、人間による開発行為の影響が顕著に出

 ていると推察されるわけである。

  また、霊子純度については人間の儀式等の影響

 が大きいものと推察されている(人間による霊子

 汚染の進行及び純度の低下について、ルフ、神紀

 4589)が農村部と都市部においての霊子純度は人

 間の認識深度に影響を受けているものと思慮され

 、後述の総量とも相関関係があることが確認され

 た。

  次に、日本の農村部と北アメリカ地域における

 人間の霊子及び魂に対する認識深度のについては

 5倍の差があり各儀式等の総量についても5倍の

 差が認められた。

  人間については、霊子の認識、運用が著しく低

 下していること(人間の霊子に対する認識及び運

 用総量の低下について、ルフ、神紀3680)は周知

 のことであるが都市部の人間における霊子への認

 識深度は著しく低下していることが確認され、そ

 れに伴い霊子汚染が進み霊子純度も著しく低下し

 ている。

  そのことは都市部と農村部の人口差が有るにも

 関わらず、農村部の霊子純度及び儀式等の総量が

 5倍も上回っていることが示すところである。

  人間の人口は霊子濃度や総量を決定する事項と

 しては大きな影響を与えておらず、重要な要素は

 霊子や魂への認識深度であり、すなわち人間の霊

 子及び魂に対する気持ち、特に「祈り」や「願い」

 といった純粋な思考がこれらを決定付ける重要な

 要素であると言える。

  具体的な事例として「手刀を切る行為」や「物

 に対する畏敬の念」等が挙げられる。

 「手刀を切る行為」については元々は儀式等に分

 類される行為であるが、現代では個々人が日常的

 に使用する行為となっており、一つ一つは微々た

 るものだが、総量に影響を与えていると思慮され

 る。

  「物に対する畏敬の念」については、日本人特有

 のという訳ではないが、山体そのもや、岩、巨木、

 河川或いは人工物に対してすら神聖を見出し、崇

 める対象とする行為が日常生活に溶け込んでおり、

 これらは霊子純度を高める要因となっていると思

 慮される。

  このことは図5に示す農村部及び都市部の人間

 の各年齢別の霊子に対する認識深度からも読み取

 れるように、9歳まで子供については、純粋な考

 えに基く「祈り」や「願い」と言った思考が多く

 みられ、認識深度も深く、霊子汚染も然程起こら

 ない状態である。特に脳の発達段階で霊子及び魂

 に関する事柄を教育される機会の多い農村部では

 顕著に認識深度が深くなる傾向にある。

  また年代が進むにつれ、農村部及び都市部共に

 霊子及び魂に対する認識深度は浅くなっていき、

 同時に余分な思考が混ざることによって霊子汚染

 が進行することとなる。

  ある程度年代が進むと農村部では60代から、

 都市部では70代から霊子及び魂に対する認識深度

 は再度深くなっていき、その思考は純粋なものへ

 と変化していく。

  これについては人間の寿命及び経済活動が深く

 関係してくるものと思料されるが、今回の調査で

 はその疎明には至らなかったものである。

  以上のことから、現代人間の霊子及び魂に対す

 る認識については、人間の経済活動に伴う開発や

 思考の劣化が霊子及び魂の認識深度を浅くし、霊

 子純度を低下させ、総じて霊子濃度及び総量の低

 下を招いていることが示された。

  今後はいかに人間の経済活動を維持しつつ、霊

 子及び魂に対する思考の純粋化を図り、霊子濃度

 及び総量の回復をさせるかが課題となる。

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