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 二人はお食事をあっという間に平らげた。(綺麗に残さず全部食べた。すごく美味しかったし、すごく元気になった)

 もともと白藤の宮はその美しくて華奢な体に似合わずに大食いなところがあり、若竹姫も都からの長い旅で、本当にお腹が減っていたので、いつもよりもずっと早く、二人で一緒に作ったお食事を食べ終えてしまった。(少しはしたなかったかもしれない。若竹姫はご飯を食べ終わってからちょっとだけ恥ずかしくなった)

「ごちそうさまでした」

「はい。ごちそうさまでした」

 若竹姫と白藤の宮は満足そうな顔で、二人で一緒に(顔を見合わせて、にっこりと笑って)ご馳走様をした。

「若竹姫。実は桃が冷やしてあるのですが、食べますか?」

 ふふっと(いたずらっ子のように)笑って、自分のお腹のあたりを優しくさすっていた白藤の宮が若竹姫にいう。

「桃ですか?」驚いて、若竹姫は言う。

「はい。桃です。私は昨日の夜に一つ食べましたけど、すごく甘くて美味しい桃でしたよ。新鮮で、大きくて食べ応えがありました」にっこりと笑いながら白藤の宮は言う。

「はい。食べます」

 同じように、にっこりと笑って若竹姫はいう。(気が付かなったけど、この森の中には、どこかに桃の木でも生えているのだろうか? それともあの立派な鯛と同じように、わざわざ私のために桃を用意してくれていたのだろうか?)

「じゃあ、今から桃を切ってあげます。あなたはここでゆっくりしていてくださいね」

 そう言って白藤の宮は一人で立ち上がると、一緒についていこうとする若竹姫をそっと手をあげて「いいのよ。あなたはお客様なのだから」と言って止めてから、そのまま台所のあるほうに向かって嬉しそうな足取りで歩いて行ってしまった。

 白藤の宮がいなくなって、静かな部屋の中には若竹姫一人だけになった。(若竹姫はずっと台所に行く白藤の宮の背中をまるで小さな子供のようにじっと見ていた)

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