人間に負け続けた魔族が、10万人の命と引き替えに掛けた、最悪の呪い

 創作に役立つエッセイや気味の悪いホラー、そしてSFを主体に執筆されている木山喬鳥さんの短編です。少し前の作品ですね。これ読み落としていましたが、とても印象的な好編です。

 ストーリーは、人間の取調官が、捕まった魔族の男から供述を録取している場面から始まります。その時、建物の表では、戦いから帰って来た勇者がパレードを行っています。今度の戦いでも、魔族を完膚なきまでに殲滅してくれたのです。 
 そんな外の声を聴きながら、取調官には、前々から思っていたある疑問を男にぶつけます。「なあ、守ってくれる魔王がいない今、魔族は人間の勇者に切られ続けて、もうこの10年間負け続けている。なぜそんな無駄なことを繰り返すんだ?」

 最初は要領を得ない答えしか返ってきませんが、そのうちに少しずつ、魔族の陰謀とも言える最悪の呪いが明らかにされていきます。曰く、「負けるのは分かっています。だから負け続けながらある呪いをかけたんです」と。
 
 さて、市民の歓声に包まれた凱旋パレードの様子はどうなのでしょうか? 変わったところはありませんか? そしてラストシーンは戦慄するような「終わりの始まり」へと突入していきます。

 人間と魔族の特性を踏まえた謎解きのアイデアが斬新で、ドキドキさせるストーリー展開もお見事、そして木山さんらしく華美なところがなく丁寧で読みやすい文章。

 この種の作品を書きなれた手練れの一作という表現がぴったりです。
 こちら、お勧めですよ。

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