第2蔵 初心者パーティに再配達?
すごすごと宿に戻り、自分の部屋に籠る
…俺以外のメンバーも、同じ宿で部屋をとってたはずなんだが…
戻ってくるのだろうか
いや、別にどうでもいいか…
顔を合わせたところで、どうせもう俺は、あのパーティには戻れない…
しばらく、暗闇の中で天井を見つめる
どうすればよかったのだろう
窓の外で、風が木々を揺らす音だけが聞こえ……
ガチャッ!!
「リフトくん!」
…と、一人で打ちひしがれているところに
フィブが勢いよく、ドアを開けて入ってきた
「…ごめんね、私、止められなかった…」
涙を浮かべて俺に謝るフィブ
「フィブの気にする事じゃないよ…
俺が自分の重さを証明できなかっただけだ」
俺のギフト『奇倉店外(ストレンジ・ストレージ)』
これは、神様が与えてくれた魔法なんだ
もっともっと、可能性があるはずなんだ…
それをもっと魅せなきゃいけなかったんだ…!
「リフトくんって、実はパーティのために
こっそり支援魔法をかけてくれてたよね…たぶんだけど」
「えっ、気づかれてた?!…そっか…俺もまだまだだな…」
「ふふ、わかるよ…だって、リフトくんとわたしの仲じゃない」
「フィブの魔法に比べれば、ほんのささいな効果だから、今まで黙ってたんだ」
昔、田舎の教会でフィブと一緒に習った、身体能力を底上げする魔法
けど、フィブにはお見通しだったみたいだ
「わ、私…やっぱりリーダーにかけあってくる!
大事なのは成果だけじゃない…頑張ろうって意思だよ!
リフトくんは、一番それを持ってる!」
「だ、だめだっ!」
振り返り、出ていこうとするフィブを、後ろからしがみつき慌てて止める
ふにっ
「ひゃんっ?!」
しがみついた際に、彼女のおっぱいに触れてしまい、びっくりした声を上げる
「あ…いや、その…ごめんっ」
「あ、うん、そ、それはいいんだけど…」
ちょっと変な雰囲気にはなったが、思いとどまってくれたようだ
…彼女には成人していない弟や妹が沢山いて、多くの仕送りをしなきゃいけない
「ブラックロッド」は有名なだけあって、ダンジョン探索だけでなく
モンスター退治の仕事も沢山来て、稼ぎがすごくいい
俺をかばったせいでパーティを辞めさせられる、なんて事になったら…
「俺のためにそこまでしなくていい
フィブが応援してくれたって思い出があれば、俺は頑張れる」
「リフトくん…っ」
フィブは振り返り、俺の背中に腕を回す
彼女の暖かい体温が伝わってくる
辛く冷たい現実も、その温かさがあれば凍えずにすむ…そんな気がする
そして、正面から押し付けられたおっぱいの温もり…
い、いや、それは置いておいて…
…強く、ならなきゃ…
強くなって、フィブをあのリーダーから救い出すんだ……!
彼女の確かなおっぱ…温もりに、俺は密かに誓うのだった
「…しかし、どうしたものか…ヘビーな状況だよな…」
違約金のおかげで、食う分には困らないのだが、それではダメだ
自分を鍛えなおさなければならない
ダンジョン攻略者を育てる学校も、遠い地にはあるらしいが…
それでは間に合わない…急いで強くなってフィブを助けなきゃ…
いつもの酒場で、新たに出現したダンジョンの張り紙を見つつ
ああでもないこうでもない、と唸る俺
そこに…
「あ…あの!」
田舎から出てきたばかり、というような風貌の青年たち
腰には新しい剣を刺している…新米の冒険者だろうか
そんな彼らが、俺に話しかけてきた
「元有名パーティの方に失礼とは思いますが…
私たちのパーティに入ってくれませんか?!」
むむ、これは…勧誘か
もう知れ渡っているんだな、俺がパーティを首になった事
「支援魔法を使える人が、パーティに不足していまして」
『初心者パーティでちやほやされとけ!』と言われた事を思い出す
悔しいが確かに、俺の荷物スキルや支援魔法は、初心者に重宝される系だ
…っと、あれ?
「俺が支援魔法を使えるって、誰から聞いたんだ?」
「あ、えっと…それは……す、すみません」
…彼らの態度から察せられた
フィブが気を利かせて、こっそり彼らに、俺の事を教えてくれたのだろう
ありがとう、フィブ…
力をつけて、きっと迎えに行くからな…!
彼らの申し出を受けよう
何にせよ、動かなければ結果は開かれない
そう思い、彼らの手を取ろうとした時…
「なっはっはっはっ!いいぞいいぞぉ!」
酒場の入り口から、聞き覚えのある耳障りな大声が聞こえてきた
…この声は…っ
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