『ば、バカな!最強スキル持ちの俺が、こんな小僧にぃぃぃぃ!』 ~主人公に敗れ、全てを奪われた俺が、謎の仮面美少女に拾われ、華麗に復活する物語~
青単西本
第1蔵 荷物持ちはパーティのお荷物?!
「小僧、お前はクビだ」
「なっ…?!」
突然の宣告に、俺は呆気にとられる
「荷物を持つしか能の無いやつはいらーん!」
テーブルをバン!と叩き、威嚇してくるリーダー
周りのパーティメンバーも、「ついに来たか…」といった顔をする
この世界には、冒険者という職業の者たちがいて
モンスターの棲むダンジョンを攻略し、様々なお宝を手に入れている
そして、ダンジョン攻略には、数人のパーティを組むのが定番
その中でも超有名なパーティ『ブラックロード』
俺、『リフト・グラウンド』は、そこの荷物持ちをしている
戦闘では役に立たないが、大量の荷物を体内に収納できるスキルを使い
持久力という点でパーティに貢献してきた
「な、なんでだよ?!
今まで俺がいたから、長時間ダンジョンに潜っていられたんじゃないか!」
貸し切りになり、パーティメンバーしかいない酒場に、オレの声が響きわたる
…酒場を貸し切ったのは、いつものダンジョン攻略会議だと思ったのに
まさかクビを言い渡すためだったなんて…
「ああん?」
「ひっ?!」
抗弁する俺を睨みつけるリーダーに、思わず竦んでしまう
ちなみに、リーダーは銀髪青眼、高身長で筋肉質で褐色肌…そして、いつも胸元を開けている
…いや、いつも思うけど、何で開けてるんだ?都会のファッションなのか?!
俺田舎育ちだからわかんねえよ…
「昨日、数年に一度見つかるかどうかの、でかいダンジョンが発見された」
リーダーは、酒場の壁に貼られた一枚の紙を指さす
その貼り紙は、数か月前の地震で開いただろう山腹の穴
そこから出てくる高レベルモンスター
そしてそのダンジョンの攻略を募集していた
「これに潜れば、きっとさらなる強敵(つわもの)が待ち構えているだろう」
「……」
「つまり…お前をかばってる余裕なぞない!なあい!」
「ぐ、ぐうっ…」
た、確かに、毎回モンスターの攻撃からかばってもらってるし、悪いとは思うけど…
「高難度ダンジョンは強いやつだけで潜って、数時間で引き返す、これ常識
お宝も量より質だぜ、質」
「だ、だけど、最低一年は一緒のパーティを組むって、誓約書を書いただろ…!」
まだ三か月しか経ってない…俺はここから成長するのに…!
ゴトッ
金貨の入った袋が、目の前のテーブルに置かれる
「ほれ、違約金だ」
「…………へ?」
思わず、変な声を出してしまう
「い、いや、金の問題じゃないだろうっ?!」
「誓約書の話をしたから、誓約書の話で返しただけだぞ?」
誓約書に違反した場合は、指定の金額を払う…確かにそう書いてあるけど…!
俺は、パーティを組んだ時の気持ちを、思い出してほしかったんだ…
「大体、俺のパーティに男なんぞ入れたくなかったんだ
僧侶のやつが熱心に勧めるから、仕方なーく入れていたが」
「くっ…軽すぎる…っ、そんな理由でメンバーを集めてたなんて…」
俺とリーダー以外のパーティメンバーは
俺の幼馴染の、青白金の僧衣を纏った金髪僧侶、フィブルス
最近、やたらおっぱいが大きくなってきていて、目のやり場に困っている
ぼそぼそと喋る、黒い長髪の剣士、オーバー
剣の道一筋な感じだが、邪魔になりそうな長髪は、なぜかやめようとしない
やたらと明るい、緑髪小麦肌のへそ出し盗賊、ティニー
よくナイフをいじっており、こっちは肌の露出が多くて、目のやり場に困る
…みんなかわいい女の子だ
「あっはー☆
役立たずの能無しは、とっとと出てけー!」
盗賊ティニーは、俺を追い出すことに賛成のようだ
どう発音するかわからない文字を使って、追撃を加えてくる
「そ、そんな…彼が覚醒したら、必ず強くなります!…たぶん」
「荷物しか持ってないやつが、覚醒なんぞするかっ!いやしない!」
手を胸元に当てながら、僧侶フィブの言葉を否定するリーダー
…いや、なんでいちいち胸元を強調するんだ…?
「…いや、高レベルダンジョンに潜った時とか
精神にすごい負荷を与えられた時とか
稀にギフトが強力に変化…覚醒する事例はあるんだ…!」
俺は調べた知識で、なんとか食い下がろうと試みる
人々はいつからか、体内の魔力で周囲を操作し、超常現象を起こせるようになった
炎を出す、水を操る、風の刃で攻撃する、誰かの傷を癒す…等々
その、魔力で超常現象を引き起こす技術が、『魔法』と呼ばれている
そんな中でたまに、生まれた時から
『他人が技術で再現できない魔法』を使える、という人間が出てくる
その魔法は、『ギフト』とも呼ばれ、大変に重宝されている
俺のギフトは、荷物を収納できる『奇倉店外(ストレンジ・ストレージ)』
外れギフトだとリーダーたちには言われているが、俺はこれが強くなると信じている
「そんなん待ってられるか!」
「というか、荷物持ちのギフトが強くなってもねー…☆」
「…その前に、戦闘中にいちいち庇うのがメンドくさい
せめて隠れる魔法でも覚えてくれれば…」
「あ、あの…そのっ……」
ま、まずい…会話を進める程、どんどん不利になっていく……
フィブだけが、頑張ってフォローしようとしてくれてるけれど
「た、頼むよ…もう少しで何かが掴めそうなんだ…そうしたらきっと…」
俺は、テーブルに手をつき、頭を下げるが
「もう遅いわー!!」
リーダーにぺちん、と後頭部をはたかれる
「…しょうがない」
「え、な、ちょっと…?!」
三人は俺をひっつかみ
「オラオラ!とっとと追放されろ!
そんでもって、初心者パーティにでも入れてもらって、ちやほやされとけ!」
「『こんなすごい人を追放するなんて、前のパーティの人たちはわかってませんね!』
なんて初心者に言われて慰められろー☆」
「…大丈夫、きっといいパーティが見つかるはず…ここ以外で」
ぽいっ
酒場の外へと放り投げ、入口の扉をばたん、と閉めた
(ま、待ってください!そんな屈辱的に追い出さなくてもっ…)
(こうでもしないとまた来るだろ!自分の立場を理解(わか)らせんだよ!)
扉の向こうから聞こえる、フィブの抗議の声
…物理的な扉一枚を隔てて、ようやく俺は理解した
もう、何をしようとあのパーティには、戻れないんだって事を
あいつらとの間に、超えられない心の壁が、できてしまった事を
「ちくしょう……ちくしょうおおおおおおおおお!!!」
外はすっかり日が暮れて、夜になっていた
俺は月に向かって、ただただ…無念を吠えた
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