点と点
「……たまご焼き。そうだ、それが足りなかったんだ!」
「良かった、思い出せたんですね」
魚沼は急いでスマホを取り出した。
「思い出せたことだし、さっそく、店の主人に伝えないとね!」
「ああ!姐さん、ちょっと待ってください!」
「なによ」
止めに入った虎松にふくれっつらで魚沼は睨む。
「まだ、一部しか解決してないじゃないですか」
「弁当屋の他にすでに数件の盗難が発生しているじゃないですか。まさにこのときも被害が拡大しているかもしれない……。今、この
お願い、と言う目をする虎松に魚沼も流石に折れた。
「……分かったわ。夕方までにアタリがつかないようなら、とりあえず先に弁当屋に連絡しましょう」
「さて、どうやって盗まれたものを当てていくの?」
魚沼はドサっとソファーに座り込んだ。
「さっきと同じです。僕が質問したりするので、答えてください」
「ふぅん、なるほど……」
「じゃあまず、花屋といえば、どんな花があると思います?」
「うーん、バラとか、百合とか、ガーベラとか、あと……菊?」
「いいですね、その調子」
「あー……、季節によっても変わるか。カーネーションとか、
「よし……っと!」
「どれどれ」
虎松が見せたのはサインペンでサッと描いた絵だったが、見事な花屋であった。
「上手いじゃない」
「へへっ」
「うーん、でも、まだピンとこない……。よし、次!」
「えーと、車といえば――」
「普通の乗用車でしょ、あとバイクにトラック、自転車もか……」
思いつくだけ挙げてもらい、それを描いていく。それをひたすら繰り返す。
「とりあえずはこんなもんか」
弁当、果物、花、車それぞれが描かれている紙を並べてみる。
「……なんていうか、ちょっと連想ゲームみたいですよね」
「こういう形でアタリをつけようと提案したの虎次郎でしょ」
「まぁ、そうですけど。あと、ちなみに僕は三郎です。でもなんだか、昔こういうのやったな〜って」
「あぁ、「〜といえば?」で連想するやつ?」
「そうです、そうです。「マジカルバナナ」ってやつですよ」
「うっわ、懐かしい〜!……マジカルバナナ、バナナと言ったら」
「「黄色!」」
2人の声が同時に揃った。
黄色……?
魚沼はふと、描いた絵を見る。まるをつけたたまご焼きに目がいく。
「どうしたんですか?」
虎松が魚沼の様子に気がついて声をかける。
「この絵、色、塗ってもいい?」
「は?」
色鉛筆などない。ペン立てに入っていたマーカーペンで適当に色をつけていく。
紫陽花の青
メロンの緑
消防車の赤
……そしてたまご焼きの黄色
バナナの黄色
向日葵の黄色、菊の黄色
車体の黄色……?
「共通点、分かったかもしれない……」
「えっ、何なに?何なんですか?」
「黄色じゃない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます