第24話 相次ぐ
グレイエから今日何があったのかが語られていく。まずは早朝に給仕の男性であるピッテが亡くなった状態で発見されたこと、そしてアリアムが離れの地下で瓦礫に埋もれて亡くなってしまったこと、さらに女性二人組で来ていた旅客のうち一人エルが殺されたことだった。
「え、エルさんが亡くなったって、いつです?」
「夕方だ。ちょうど我々が離れに集まっている頃に殺されたようだな」
「そんな……」
一緒に宿泊していたロミは泣き腫らしたように目を真っ赤にさせて俯いている。感情的になってしまいそうな危ない雰囲気だった。
「先に話したいものはいるか? いなければ指名させていただく」
「ぼ、僕からで」
なんとなくグレイエはロミを指名しそうな気がして、慌てて手を挙げる。全員の視線がこちらに集まった。ロスコよりも先に話をしようとは思っていたので、こうする方が都合は良かった。
「ほう。お願いしよう」
「僕は朝、給仕の方の死を知りました。それからこのホテルについて詳しく知らなければならないと思い、アリアムさんとロスコさんと共に、ホテルの敷地内を散策していました。そうして、あの離れを見つけたのです。運良く鍵が空き、そのまま入ってしまいました。中は資料置き場のようになっており、しばらく手分けして中を探しました。その最中に突然、天井が崩れたのです。アリアムさんはそれに巻き込まれてしまいました。瓦礫は重くて退かすことができず、アリアムさんを諦めることになってしまいました。それ以外は特に変わったことはありません」
僕が話し終えると、ロスコさんが何か言いたげにこちらを見る。大丈夫ですとだけ伝えておく。僕に任せて欲しいと伝えれば、安心したように微笑んだ。僕の次はトグアビさんが話し、今日はどのようなことをしたのかしどろもどろに伝えている。僕の嘘に合わせ、彼自身がロキオズの食事を運んだと言ったときには意外にも機転が効くんだと感心した。その後も報告が続いていき、ロミの順番になった。
「うっ……ちょっとだけ、……側を離れてっ、一人にしちゃって……帰った時にはもう……あああ……」
泣きながらエルが死んでしまったことについて話している。三階の森側の端、つまりは僕の部屋のある廊下を突き当たりまで行ったところが現場らしい。彼女たちなが宿泊する部屋は二階の反対側だと言っていたから、かなりの移動をしたことになる。
「昨晩の話の時には頭から抜け出していたんですが、いなくなったシェフはどうでしょう? 実は近くに潜んでいて、僕らを狙っている可能性も」
「それはない」
「え?」
グレイエがすぐに答えた。僕は次の言葉を待つ。
「前任のシェフなら、ホテルから少し出た草原で亡くなっていた。厨房の従業員たちに遺体を見せて確認も取れている。死後一日以上は経過しているだろう」
「そんな……」
「…………?」
皆が恐れおののく中、僕は首を傾げた。
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