第27話 

「それじゃ、俺たちはこれで」

「またなー!」

「じゃあねー!」


「うん!またねー!」

「またいつかどこかで会えるといいわね」


そして俺たちはヘルクとクレスと別れ、会社を後にした。

バーゴのことは非常に残念に思っているが、俺もいつまでも落ち込んでいるわけにはいかないのだ。

これからさらなる強敵が待ち受けているのだからな。


「さて、キマイラ討伐も完了したことだし、次の目的地を目指すか…」


「リエス、もう次の場所に行くのか?」


「え、早すぎない?戦闘したばっかりなんだから、もう少し休んでいけばいいのに」


「休んでいる暇はない。現在も世界各地で機構魔獣による被害は続いているからな」


すると、ウルスから予想外の言葉が出てきた。


「なぁ、ちなみにその旅、俺たちもついていっていいか?」


「お前たちが…俺の旅に?」


「うん、私たちもレストアージ持ってるわけだし、リエスの役にも立てると思ってね」


確かにそれはいい提案だ。

サイクロプスと戦った時も、俺一人では少々手こずったが、二人が来てくれたからあっさり倒せたんだからな。


一緒に戦ってくれる仲間がいるというのは心強い。

…だが、これは危険な旅だ。

また俺のせいで二人が危険な目にでも遭ったら…、バーゴの時のようになってしまったら俺はもう耐えられない。

大事な仲間だからこそ、失いたくない。

だから…。


「悪いが…それはできない」

「な、なんでだよ?俺たち仲間だろ?」

「もしかして私たち、そんなに邪魔なの?」


「いや、お前たちは大事な仲間だ。だからこそ、お前たちとしたいことがたくさんある」


「俺たちとしたいこと…?それって将来の夢みたいなやつか?」


「どうしたの?急に真剣な顔して?」


二人は疑問を浮かべた顔をしている。


「俺、バーゴたちを見て思ったんだよな。この旅が終わったら、俺もバーゴみたいに自分で会社を作ってみたいってな。そして、お前たちと一緒にレストアージに関わる仕事がしたいと思っているぞ」


「リエス…いいなそれ!前に俺たちが働いてた工場、改装しようぜ!」


「レストアージに関わる仕事かぁ…。なんか楽しそうだね!」


俺の話に二人は大賛成のようだ。


「だから俺が帰ってくるまで、カンパニュラを守っていてくれ。帰ってきた時に、思い出の場所が焼け野原になってた、なんてことになったら嫌だからな」


「おう、任せとけ!カンパニュラは俺たちが守ってやる!」


「とか言ってると…割とまたすぐに再会しちゃうかもよ〜?」


おい、今の発言で雰囲気ぶち壊しだぞ。

そういうところもジェミらしいけどな。


「それじゃ、そろそろ行くとするか」


早速、俺はウリエルに搭乗する。

もちろん、ウリエルにはサリエルの剣と盾も装備させている。

盾で防御しながら、二本の剣で二刀流の攻撃ができるようになったというわけだ。

これでウリエルがどのくらい強くなったのか楽しみだな。


「じゃあな!なるべく早く戻ってこいよー!」

「いつでも待ってるからねー!」

「あぁ!行ってくるぞー!」


…そして、また俺の一人旅が始まった。


―――――――――――――――――――――


…その頃、ヘルクとクレスは会社の地下の工場にいた。


「そういえばリエスたち、サリエルだけじゃなくてキマイラも回収してきたんだよね?」 


「えぇ、そうね。キマイラの遺骸はここに保管してあるみたいよ」


すると、ヘルクがこんなことを言い出した。


「そっかぁ…。あ、そうだ!せっかくだしキマイラを解体してみない?」


「キマイラを…解体?」


「うん、機構魔獣の中身ってどうなってるか気にならない?それに、もし良い部品があれば今後の開発にも生かせるかもしれないし!」


「それは確かに面白そうね…。分かったわ、解体してみましょう」


こうして、二人はキマイラを解体して、内部を調査してみることにした。


「うわぁー!機構魔獣の中身ってこんな感じなんだね!広ーい!しかも見たことない部品がいっぱいある!」


「だけど、なんだか気味が悪いわね…」


キマイラの内部は、二人が見たことのない部品ばかりで構成されており、薄暗い通路のようになっていた。

そして、そこからもう少し先に進んでいくと…。


「あれ?なんだろこれ…扉かな?」

「そうね…。何か部屋でもあるのかしら?」


二人は扉のようなものを発見した。


「なんか…ドキドキするね…」

「この先に何かすごくいい部品が見つかるかもしれないわね」


その扉を開けてみると…。


「さーて、どんなのがあるのかなー?…え?なに…これ?」


「クレス?どうかしたの?…ゔっ!?」


二人は、その扉の先で“あるもの”を見つけてしまい、驚愕していた。


「ねぇ、クレス…。これって…」

「えぇ、間違いないわ。これは――――――」



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