第5話 俊英会④

「だから、あまり過激なことは……」


「無駄ですよ。過激な意見が由人先輩のうりですから」


「だな」


「過激で悪かったな。まあ、一応、ハト派なんだがな。それでも、自己防衛力としては、必要だな。自らの国を守る為の力は必要だろ。圧倒的な整備力とか、静か過ぎる潜水艦とか。空母も配備しているしね。後は、優秀な自衛隊を信頼して、装備の刷新かな?」


 日本は世界では、人口は11位(1億2371万9238人)だが、兵力は21位(24万7159人)となっている。その他では、軍用機6位(1459機)、戦闘車両29位(518両)、軍艦21位(155隻)などとなっている。


「だが、専守防衛ならぬ先取防衛が出来れば良いんだが。まあ、本当は戦わないのがベストなんだが。戦わずに外交で解決出来れば良いけど、その外交も相手の強硬姿勢やハッタリにどうも弱い気がする」


「外交は難しいからな〜。外務省の外交官が長年かけて培った信頼関係をたった一言でぶち壊すこともある。そこは、本当に難しい」


「確かにですね~。今の日本は、後ろにアメリカがいます前程の戦力であり、外交だとも言えるかもですし」


「ああ。戦いで言えば、国内自給率や、資源の量で考えても単独で戦うのは難しいんだよ」


「だからこそのかつての満州国樹立に、インドシナ侵攻だったわけだな」


「まさしく黒歴史ですね~」


「ああ」


「その黒歴史を繰り返さない為に、守ってもらう事に感謝しつつ、お金はかけて防衛力を強化する」


「俺は徴兵制を復活させても良い気がするが……」


「さすがネトウヨ」


「だから、ネトウヨではない!」


 維新が怒る。


「軟弱なネトウヨ共も徴兵制を復活させてきっちりと精神と肉体を鍛え上げれば良いのだ」


「そう言うが。やはり職業軍人は強いよ。まあ、精神を鍛え上げるはちょっと賛成だが。愛国心とネットの中で燃えていても実際自分が戦う立場になれば逃げる。それはしょうがない。だから、とある国では洗脳して戦わせる。まあ、とある組織もか」


「怖いな〜」


「そう、怖いんだよ。戦いは人を狂わせる。だから、避けれるのなら避けるべきなんだ」


「なるほどな」


「ただ、準備はしておかないといけない。それだけだよな」


「そうですかね」



 そこまで話した時だった。突然、将久が。


「うん、決めた」


「ん?」


「民主的でもあり、進歩主義でもあり、民主進歩党で、民進党だ。二番煎じだがな」


「まあ、確かにな。すぐに無くなったから良いんじゃないかな?」


 将久の突然の党名決定ではあった。まあ、進歩で進歩主義を表しているようだ。民主は民主主義を表明。あくまで、多くの意見を取り入れて民主的な党ですよと。


 アメリカのリベラル政党の民主党とは意味が違う。ちなみにあのトランプさんは民主党応援からいつの間にか、共和党員になって大統領になった、変わった方である。


 トランプさん自身は根っからの保守主義者ではない。


 彼は元々、民主党員であり、ヒラリー・クリントン元国務長官にも政治献金を行っていた過去がある。民主党が掲げる価値観に共鳴していたことも背景としてある。


 トランプさんは共和党より民主党の経済政策が優れていると述べており、リベラル派が支持する傾向がある人工妊娠中絶、大麻、同性婚の合法化を早い段階から容認していた。


 そのような過去から、トランプさんは教条的な保守主義者になりきれないでいる。


「主義主張に一貫性が無いんだよな〜」


「ん? なんの話だ?」


「いやっ、ひとり言」


「そうですか〜?」


 で、だった。後は選挙前の準備をして選挙に突入となるわけだが。とりあえず、政党名と党の方向性が決まったので、方向は比較的雑談に移行する。


「だけど、離婚したんだって?」


「はい、去年の10月に」


「えっ、離婚したんだ〜」


「そうですよ、離婚しましたよ〜、由人先輩〜」


「ふ〜ん」


「なんですか〜、その興味無さそうな態度は〜」


「で、なんで、離婚したんだ?」


「えっ、っと、それは……」


「不倫とかか?」


「へ〜、不倫か〜、憲子が?」


 そう言えば、いつの間にかお互い下の名で呼んでいるな〜。


「ち、違いますよ。あれですよ、あれ……」


「あれ?」


 将久と俺は2人して首を傾げる。


「あれだ。仕事にかまけて家庭を省みずってやつだよ」


 なぜか維新がそう答える。


「ん? なんで維新が知ってんだよ?」


「あ〜、それは、こう見えて一応、弁護士さんですから、相談にのって頂いて……」


「まあ、俺も専門分野じゃないから、弁護士を紹介しただけだがな。まあ、親権はとられたみたいだがな」


「なっ、ちゃんと一番上の子は私のところにいますよ」


「だそうだ」


「なるほどな〜」


「そ、それよりも、由人先輩も離婚されますよね?」


「ああ、2回な。1回目は、それこそ仕事で家庭省みずでな、当直に急患でほとんど家に帰らなかった。まあ、2度目は、まあ、なんというか子供欲しいから始まった妊活でお互い疲れちゃってな〜。まあ、結婚向いてないんだよ、俺は」


「そうだったんですか〜。でも、ほら、性格が合う人がいれば、ね」


 なんか、くねくねとアピールする憲子。


「動きが古くさいな」


「余計なお世話ですよ~」

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漆黒の由人 刃口呑龍(はぐちどんりゅう) @guti3

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