AyaTurArerU
第11話 ギルド
次の日、廃墟を3時間歩いていると街らしき場所にたどり着いた。魔物から守るためか圧倒されるような柵が周囲に設置されていた。ワイワイと人々の声が溢れており、柵か見える光景は、どこか賑やかで楽しそうだった。近くには、見張り用の塔が存在し、人払いの為なのか、角笛が吹き鳴らされていたのだった。入口の近くには退屈そうな警備員がおり、入口に立ってぼーっとしていた。
まるでギルドのような光景に、俺たちは驚いちゃうよ。
「何だろうな?ここは」
ヴェルはそう言いながら、警備員の男を見る。すると、男は俺たちのことを不思議そうに見つめ、近づいてくる。
「あの、もしかして……他国の剣士さまでしょうか?」
「え?」
警備員の言う意味が分からず、俺は首を傾げた。すると、ヴェルはにやついた顔で警備員に近づいてくる。
「そうだよ。おれたちは他国から来た王と契約して配下についているんだ。ここに来たのは、この国のギルドの調査だよ」
「!!ヴェル、何を……」
「そうでしたか!!では、お通しいたします!!」
俺は慌ててヴェルの方へ駆け寄り、なんとか止めたのだった。
「ちょっと、何してんだよ!!」
「なによ。別に問題は起きてねぇじゃん?」
ヴェルはきょとんとしながらそう言ったが、その顔に笑みを乗せながら、俺の方を覗き込んできた。
「だって、お前の恰好再度見てみ?俺だって最初見た時、帝国の王かなんだといったじゃねえか?」
あー、たしかにそうかもしれませんけど!!元々王になりたいと思ってきたんですけど!!ぎこちないってことなんじゃねえですか!!
俺は自分の格好をみて、恥ずかしくなってしまったのだった。
「なあ、お前さぁ。もしかして、この格好でギルドに行った時、どんな反応をされかけると思っていたの?」
「うっ……ま、まあ、どうとも思ってくれるかと思っておいたが……」
そう言うと、ヴェルはふふんと胸を張って言い放った。
「だろ?ほら、これを見てみろ。こんなのでも、格好いいんだぜ?」
「ヴェル……お前、ホントに……王になれる気がするな……」
俺は思わずそう零すのだった。
するとヴェルは照れくさそうに顔を背けて、こう答えたのだった。
「そ、そんなことはねーよ。別に」
ヴェル自身、自覚しているのだろう。そんな姿を見ていると、ますます王になると思えてしまいそうだった。ぐわー!!逆転されそうで怖いー!!
ヴェルの様子が変わったことに、俺たちは驚いていたのだった。
それから俺たちは、ギルドに入り、クエストを受注した。
「えーっと、クエスト依頼はどこなんでしょうか?」
レムはキョロキョロと辺りを見回しながらそんなことを呟いていた。辺りは喧騒が渦巻き、様々な人物や種族が行き交っている。冒険者らしき者たちや、商業ギルド風の施設に、ギルドの受付カウンターらしき場所があるだけだった。
「あそこのカウンターにあるかもな?」
俺はギルド内の様子を眺めつつそう呟いた。すると、レムが驚いたように声をあげながら俺の方へやってくる。
「あれですか!?冒険者さんたちが集まっている場所みたいなのが!!」
「そうそう、じゃあ、いくか」
俺はそう言うと、カウンターへと向かっていくのだった。するとレムがハッとしたように俺の後をついてくる。
「あ!待ってください!!私も行きます!!」
そう言って、慌てて俺の方へ走ってくる。そして、俺たちはカウンターの受付嬢に話しかけたのだった。
「いらっしゃいませ!今日は何を?」
「クエストの発注をお願いしたいんだが……」
「かしこまりました!では、あなた様のギルドカードを見せていただけますか?」
俺たちは顔を見合わせると、顔面蒼白になった。
「あ、あのー……ギルドカードって持ってないんですが……」
俺がそう言うと、受付嬢は不思議そうに首を傾げる。
「え?」
「いや、その……発行してなくて」
「あ……なるほどですね。少々お待ちください」
受付嬢はそう言うと、俺たちのギルドカードを持っていない理由を聞きにカウンターの向こうへ行ってしまったのだった。
「どうします?」
レムは俺に近づいてきて小声でそんなことを言ってくる。
「まあ……俺たちが悪いし、しかたないな」
俺はため息をつきながら答えると、レムは少し不安そうに俺をじっと見つめてくる。そんな目で見つめられても仕方ないじゃんか!!だって、俺たちのミスなんだしさ! すると受付嬢が戻ってくると、俺たちに一枚の紙を見せてきたのだった。その紙には、ギルドカード発行用の必要事項が書かれていた。
「では、まずは冒険者登録の手続きをさせていただきますね!」
受付嬢はそう言うと、俺たちに一枚ずつ紙を渡してきたのだった。その紙には自分の名前や、性別などが書かれており、生年月日を書く場所があったのだった。
「あ!あの……これって……」
レムが驚いたようにそう呟くと、受付嬢は笑顔で答える。
「はい!これは、お名前をお聞きしますね」
「えっと……名前ですか?」
「はい!お名前をお聞きしますね!」
受付嬢は、俺たちに紙とペンを渡しながらそう言ってきたのだった。俺たちは顔を見合わせると、渋々といったように紙に名前を書くのだった。
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