戦闘試験なんだよ

さて、次行くのは冒険者ギルドなんだが…


(アル…私なんとなく冒険者ギルドのギルドマスターに心当たりがあるんだよ…)


奇遇だな。俺もだ。



「何だ、先に商会ギルドに行ったのか!可愛がられただろ?お前さん、ホリーに気に入られてるからな」


はい、見事予想の真ん中を貫いてくれました。いや、ホリーさんが商会ギルドのギルドマスターだったし、正直そんな気はした!


思えば、冒険者ギルドを進めてきたはアンバーさんだったよな?と言うことはホリーさんよりはヒントがあったのか…?


「さて、前置きはここまででいいな。冒険者ギルドは言ってし合えば何でも屋だ。依頼を受ければ、トイレ掃除から魔物討伐までなんでもやる。当然、犯罪意外だがな!」


うん!絵に描いたようはファンタジーギルド!


「ただ、誰彼勝手に依頼を受けさせてると、身の丈に合わね依頼を受けるやつが出てくる。そこで作りたのが、ランク制度だな。まあ、これは他のギルドも同じだから…その反応からするとばあ様は面倒くて飛ばしたな?」


「そんな感じです。」


「まあ、ばあ様だし仕方ない。むしろアイツが自分自身で対応しただけでもかなり期待されてるってことだ。大変だろうが頑張りな!」


コンコン


「ギルドマスター失礼します。アルクトス様のギルド登録が完了しました。」


「おう、ありがとなアリア!ほらアル、これでお前さんも冒険者だ。」


そういって、ここに案内される前に渡していた商会ギルドのカードが返される。そこには渡した時にはなかった剣と盾のマークが追加されていた。


「さてと!実は討伐系のクエストを受けるにはギルドのテストを合格する必要がある。やる気があるなら今からでもできるがどうする?」


あー、まあ普通はそういうのあるよな。せっかく痩せて体が軽いから適度に運動はしようと思ってたけど、戦闘…戦闘かー


そもそも今の俺ってどのくらい戦闘できるんだ?


「悩んでるようなら、受けてみるといい。別に落ちたところでペナルティはないしな。それにあの牧場で生活していくなら魔物との接触は避けられない。そう言う意味でも荒事に慣れたほうがいいと思うぞ?」


そっか。確かに俺はあの傍でゴブリンに追いかけられたんだよな。そう考えると最低限の戦闘の力は必要はあった方がいいのかもしれない。よし!


「どこまでできるかわかりませんが、テスト受けさせていただきます。」


「その粋やよし!早速テストと行こう!」


俺たちはアンバーさんに案内されて、ギルドに併設された訓練用の広場へ向かった。対戦相手こと試験管は、アンバーさんに道すがら捕まったジルと言う名の青年である。


「さて、今回のテストはアルが5分間参ったと言わなければ合格。ジルは…まあ、いつもやってるからわかってるよな?」


「おうさ!何せ人使いが荒い、人攫いがギルドにいるからな!」


「おうおう、それは物騒だな。それじゃあ始め。」


合図と同時にジルが透かさず飛び足す。さすがプロ。切り替えが早い。


「さてと、お手並み拝見させてもらうぜ!」


振るわれたのは音を置き去りにするような素早い一太刀。間違いなく、お手並み拝見でしていい攻撃ではない。


ただ、その一撃よりも、それを見て回避行動ができた、俺自身の身体能力にビックリだぜ!


「へーちゃんと見えてるし、自然体で躱せてやがる。」


「お褒めに預かり光栄です!できれば手心は加えてくださると嬉しいですね!」


「それは無理だな!」


さて、剣術三倍段といった言葉があるのは知っているだろか?これは、剣を持った人間は無手の人間の3倍強いって意味だ。それがわかっていながら武器の使用を断るやつはアホだと判断されても仕方ないと思う。


「回避はうまいが攻めてこないな!武器を持たなかったのは逃げるためか!」


はい、武器を持ってる相手に無手で挑むアホこと俺です。いや、剣なんて振るったことないから良くわからんし、それなら少しは経験あってLv1でもスキルがある武術に期待しようかなって!


因みに今回ガイアは完全に見学モード。これも俺がお願いしたことで、命の危険がない今のうちに自分自身のスペックするのが狙いだ。決してナメプではない。


(負けたときの言い訳だよね?)


うるせい!絶対に負けないから見てろよ!


心のなかで啖呵を切った俺は、相手からの一撃に合わせて一歩踏み込む。これ、相手との距離を詰めつつ、回避もできるお得な受け流し。成功すると相手からの消えたように見えるので、その間に全力でカウンターを叩き込みましょう。


俺は踏み込んだ足側に体重を移動して、ジルのがら空きな脇腹を狙う。


「おっと、さすがにそれは食らいたくないな!」


しかし、ジルが急加速したことで、これは空振り終わってしまう。以降、鋭さがましたジル攻めを前にして、俺は躱し続けるのが精一杯だった。


でも、どうにか5分間躱し続けた。当然、「参った」なんて言わなかったし試験は合格だ。アンバーさんからも、想像以上だったと褒められたので問題なし!


かくして俺討伐系の依頼を受けられるようになるのだった。




「どうだった?」


「いやー、スペックは高いですよ。間違いなく武術のスキルは持っていると思います。」


「だろうな。故に少し解せんな…」


「ええ、なんで自分自身の技に振り回されているんでしょうか?」


アルは知らないが、ジルはBランク、アンバーに限っては元Sランクに到達した猛者である。それも戦闘面に特化し方向でだ。だからこそ、感じるアルへの違和感。


「過去に怪我でもしたとかですかね?」


「それにしては、動きの初めにためらいが無かったのう。まあ、わしとしては任せられる仕事が増えたようだからラッキーじゃったわい。」


好き勝手予想する2人だったが、さすがに突然肉体のスペックが上がっていたなんて理由はわかるはずがないのだった。

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