襲撃者
空挺戦車〈クサーリア〉の襲来前――トレーラーに乗っている人々が仮眠に入る前のことである。
夜道を疾走するトレーラーとバレットナイト部隊は、レーザー通信(レーザー光線を用いて回線を繋ぐので、通信傍受される恐れがない)で臨時会議を開いていた。
この会議の主導者は、エルフリーデ・イルーシャである。
伯爵、帝国皇帝の使い、隣国の王族が並ぶ中では、身分的には怪しい庶民出の騎士であるが――その英雄としての名声と実績は、場を取り仕切るのにぴったりだったのだ。
本来、こういう差配に抵抗がありそうなバナヴィア衛兵も、窮地を救われたことで彼女に協力的なので、極めてスムーズに話は進んだ。
「手短に今後の方針について皆さんと情報を共有したいと思います。伯爵と殿下、レディ・ノーラにとっては退屈かもしれませんが」
異論はなかった。素晴らしい、物わかりがいい貴族ばっかりで助かる。
エルフリーデは精鋭である竜騎兵を率いていた指揮官である。小隊規模とはいえ、その戦術眼は磨き抜かれていた――少なくともまともな実戦経験があるのは少女だけなのだ。
「まず今後の方針ですが、要点は二つです。我々はこれからフィルニカ北部の都市トゥルバリスに向けて道路を移動します。そして無線通信による救援要請は、トゥルバリス市に近づくまで行いません」
『疑問がある。トゥルバリス市を選んだ理由と、無線通信を行わない理由についてだ』
通信ウィンドウの中で、黒髪の青年が落ち着き払って疑問点を整理した。
クロガネ・シヴ・シノムラは科学技術オタクかつ実務家なので、おおむねエルフリーデの思考はわかっているはずだ。つまりこれは、素人であるラトとレディ・ノーラに聞かせるための質問だった。
よどみなくエルフリーデ・イルーシャは応えた。事前の打ち合わせはなかったが、台本でもあったかのように綺麗な流れ。
「北方の要衝であるトゥルバリス市は、国王派によって固められた軍事基地が存在しています。仮にここが陥落していた場合、そもそも我々の逃避行は不可能でした。よってここはまだ、国王派の拠点だと考えられます。近場の都市では最も安全です。ここまではよろしいでしょうか?」
エルフリーデは言葉を句切る。
質問や反論がないか、じっと黙って一〇秒ほど待つ。誰からも質問はなかった。
ちなみにフィルニカの国内情勢については、バナヴィア衛兵――主にアラン・バリエ隊長からの情報提供が大きい。国王に仕える衛兵隊である彼らは、流石にフィルニカの情勢について微妙な話を知っていた。
鉄火場での戦働きを見て、彼らがエルフリーデを信頼してくれたのは大きなプラスだった。
「さて無線通信をギリギリまで使えない理由は簡単です。我々が救援を求めた場合、確実に敵――反乱軍にも傍受されます。電波の発信源は速やかに特定され、追っ手が差し向けられるでしょう。ここがフィルニカでも通信事情が悪い山間部なのも大きいです」
『助けを求めても電波が届くかはわからず、敵に捕捉されるからうかつに通信を使えない。そういう理解でいいんですね?』
ラト・イーリイ・クナトフからの質問――流石にフィルニカ・ヘヴィ・インダストリーの設計技師ともなると科学技術に対する理解も深いらしい。無線通信は極めて便利な技術だが、電波の発信源の逆探知などで両刃の剣になり得る技術だ。
「ええ。ですので我々はこのまま道路沿いに移動します。現在まで敵の追撃がなかったこと、道路の封鎖もなかったことを見るに、敵は戦力の再編に手間取っています。それまでの間、距離を稼ぐのが当面の目標です」
電脳棺に映るトレーラー内の様子――シートベルトを着用した貴族令嬢が、外行きの外套を羽織った状態でするりと手を挙げた。
『その、ちょっといいかしら。皆さん、賊軍は地上からやってくる前提で話していらっしゃるけど――飛行機で襲ってきたりはしないのかしら?』
エルフリーデが口を開く前に、バナヴィア衛兵のアラン・バリエが口を開いた。
『王立航空騎兵隊は間違いなく陛下の側です。我々にいきなり空爆が襲ってくる可能性はないと言っていいかと。陸軍の飛行隊……ヘリコプター部隊となるとちょっとわかりませんが』
「バリエ隊長、ありがとうございます。レディ・ノーラ、よろしいでしょうか?」
『ええ……バリエ隊長、ありがとうございます。少なくとも問答無用で爆弾を投げ込まれない、というだけでも安心して目を閉じられますわ』
そう言って微笑む赤毛の貴族令嬢は、恐ろしく肝が据わっていた。いつ何時、反乱軍が砲弾を撃ち込んでくるかわからない状況下で、泣き喚きもせずに理性で自身を律している。
なるほど、ベガニシュ皇帝の使いというのは伊達ではないらしい。
クロガネはこれで危険な現場にも出てくる変人だし、ラトの方は青い顔でうつむいている――上流階級の育ちでありながら、ノーラ・ハイゼがここまで落ち着き払っているのは驚嘆すべきことだった。
エルフリーデは感心しながら頷き、話をまとめた。
「もし敵に発見された場合も、送るのはあくまで救難信号だけにしましょう。別方向に逃げているバナヴィア衛兵の囮と、こちらのトレーラー。どちらに殿下が乗っているか、敵に判断材料を与えたくありません」
装甲車並みの防弾性能を持つといっても、大型トレーラーは大きすぎる的だ。
もし問答無用で皆殺しにするつもりなら、如何にエルフリーデが最強のバレットナイト操縦者といえど、防ぎきれずに被弾していただろう。
だが、反乱軍の目的はラト・イーリイ・クナトフの身柄である。この種の車両に対して有効なあらゆる攻撃手段がうかつに使えない――道路への攻撃すら、交通事故で中の人間を死なせる恐れがあるのだ。
さらにバナヴィア衛兵の大半が如何にもそれらしい車列を守って撤退したことで、敵はどちらが本命かわからず、戦力を分割する羽目になっている。
この戦術的優位性は無視できない。
なのでギリギリまで助けを呼べないという縛りが生じるにせよ、利点の方が大きいとエルフリーデは判断していた。
「――わたしからは以上になります」
我ながらいい感じに話がまとまったと思う。エルフリーデ・イルーシャがちょっぴり自己満足した瞬間、クロガネが頷いた。
無愛想な伯爵様が、するっと何気なくこう言った。
『ああ、お前に我々の命を預けよう。頼りにしているぞ、我が騎士』
エルフリーデは悶絶しそうになった。
――わぁあああ、これ恥ずかしいけどやる気出るっ!
もし対面形式だったら、エルフリーデの表情の変化はばっちりバレていただろう。
音声だけの通信越しのやりとりで助かった、と少女は思った。黙り込んだエルフリーデに対して、
『……不満か?』
「いえ、どっちかっていうとポジティブな沈黙ですのでお気になさらず!」
ちょっと早口で誤魔化すエルフリーデ・イルーシャだった。
◆
そして現在。
どうやら待ち伏せされていたらしい、とエルフリーデは舌打ちした。フィルニカ近代化の目玉として整備された国道は、とても交通インフラとして良好な代物だが、それゆえに遠方からでも監視しやすい。
どこかのチェックポイントで大型トレーラーの存在に気づかれ、先回りするように近隣から空挺戦車を運んできたのだろう。
「敵車両群の接近が予想されます。全火器使用自由、攻撃開始――」
空挺戦車〈クサーリア〉複数が、山々を
敵の出現予想位置はこちらから見て左手、西に一五〇〇メートルの距離。山の岩肌によって遮られているものの、それ以外は見晴らしのいい国道沿いである。
バレットナイトの装備している四七ミリ狙撃砲なら、軽戦車でしかない敵部隊はいい的である。
オレンジ色の炎が、遠方でチカッと光った。
夜闇を切り裂く
爆発。爆発。爆発。
大型トレーラーの右斜め前方三〇メートルほどに相次いで着弾――飛んできた砲弾の破片が、エルフリーデの〈アイゼンリッター〉の装甲を叩いた。
凄まじい爆風。生身の人間なら防弾鎧ごとズタズタに引き裂かれている。
一五〇ミリガンランチャーから吐き出された多目的成形炸薬弾――メタルジェットを噴き出す対装甲用、破片をまき散らす対人用が一度にこなせる大口径砲の炸裂。
おおよそ火砲というものの破壊力を思い出させてくれる感覚だった。戦車の装甲を射貫くだけなら小口径レールガンで事足りるようになっても、この砲撃の強烈さは代替できるものがない。
衝撃波で視界がぐらつく中、エルフリーデは四七ミリ狙撃砲を構えて撃った。
敵がどこから撃ってきたのかは、もう見えていた。
着弾――傾斜のなだらかな山の斜面を登って、砲塔だけを突き出した〈クサーリア〉が一台、四七ミリ砲弾によって大穴を空けられた。
砲塔が吹き飛んだ。
超硬化結晶体弾頭が装甲を貫徹、高熱によって弾薬に引火して瞬時に爆ぜたのだ。
慌てて他の戦車が山の向こう側に引っ込んでいく――置き土産に筒状の何かを射出しながら後退。
空中で炸裂したそれ――もうもうとエアロゾル化した煙がぶちまけられる――
その意図は明確だった。
「敵が突っ込んで来る、迎撃用意!」
『了解――』
砲声。
また一五〇ミリ砲弾が撃ち込まれてくる。直接、トレーラーに当てるつもりはないようだったが、その火力投射は無視できない。
砲撃によって地面が揺れる。
発煙弾のスモークがたっぷり炊かれて、煙幕で覆われた空間――その最中を突っ切って空挺戦車がこちらに突進してくる。
自殺行為である。所詮は軽戦車に過ぎない〈クサーリア〉は、バレットナイトの狙撃砲で簡単に排除できる防御力しか持ち合わせていない。
だが、その意図はすぐに明らかになった。
四両の空挺戦車〈クサーリア〉――戦車一個小隊――が突撃、さらに四両の〈クサーリア〉が後方から射撃してくる。
煙幕越しの射撃は大雑把ではあったが、その割にはこちらの進路方向に着弾が集中している――おそらく前衛として突撃してきた車両群が、データリンクでこちらの位置を送ってきている。
空挺戦車〈クサーリア〉は快速であった。あっというまに五〇〇メートルの距離が詰められ、彼我の距離が一〇〇〇メートルを切った。
〈M4Fカフドゥ〉の二〇ミリ機関砲がそのうちの一台を捉えた。極超音速に加速した砲弾がアルケー樹脂装甲を貫通し、内部の乗員を殺傷する。
敵の反撃――レーザー誘導式対戦車ミサイルが、三両の〈クサーリア〉から発射される。小型爆薬によってガンランチャーから射出されたミサイル――空力制御フィンが展開、固体燃料ロケットモーターに点火――爆発的推力で〈M4Fカフドゥ〉に迫るミサイル群。
『――なっ』
咄嗟にバナヴィア衛兵が左腕に装備したシールドを掲げる。
着弾、着弾、着弾――前後に弾頭が連なったタンデム弾頭の対戦車ミサイル三発が、重厚な装甲板を爆発で弾き飛ばす。
左腕をもぎ取られ、姿勢が崩れた〈M4Fカフドゥ〉に対して、敵の第二射が集中しようとする。ジグザグに機動を取りながら、砲塔はレーザー照準器を敵機に合わせる練度の高さ。
流石は山岳猟兵と言うべきか、その動きに乱れはない。エルフリーデは四七ミリ狙撃砲を撃ちきった。
砲弾が敵戦車片側のキャタピラを撃ち抜いた。足回りをやられて、地面に車体をこすりつけながら急停車する戦車――バナヴィア衛兵の集中砲火を浴びて、爆発炎上する。
「足を止めないで! このままトレーラーを突破させる!」
降り注ぐ一五〇ミリガンランチャーからの砲撃は激しさを増している。直径一五〇ミリの多目的成形炸薬弾が炸裂するたびに爆風と破片がまき散らされる。
『エルフリーデ様。先ほど、旦那様が救難信号を発信しました。敵増援と救援、どちらが先に来るかは賭けになりますが――』
「了解。ロイさんも踏ん張ってください!」
正直なところ〈アイゼンリッター〉は万全の状態とは言いがたい。度重なる戦闘で無茶をさせてきたし、駆動フレームや人工筋肉にも細かい損傷が蓄積されている。
しかし敵にも余裕はない。ラト・イーリイ・クナトフの身柄の確保という重大事に、用意できた駒が戦車二個小隊だけなのである。
相当に追い詰められている証拠だ。先ほどから激化している砲撃もその証拠である。
ラトが負傷するリスクを承知で、敵は勝負を決めに来ていた。
時間をかけて火砲の数で圧倒すれば、こちら側の護衛部隊をすり潰すぐらいわけはないだろうが、反乱軍は一刻も早くラトを手中に収めたいのだ。
あるいは空挺戦車の車体をぶつけてトレーラーを強制的に停車させる腹づもりかもしれない。如何に軽量化されたとはいえ、時速数十キロで装甲の塊が突進すれば、大型トレーラーも無事では済まない。
しかしそのような体当たりを許すほど、エルフリーデもアラン・バリエも間抜けではない。
煙幕も長続きはしない。
後方から射撃してくる〈クサーリア〉とて、現在の位置を長くは維持できないはずだ。味方バレットナイトの集中砲火を浴びて、突出してきた空挺戦車は全滅した。
そのとき、アラン・バリエが声を上げた。
『敵増援――歩兵戦闘車です! 数は八、対戦車ミサイル装備型ですな!』
一五〇ミリガンランチャーの砲声に紛れて、新手が地上を進撃してきたらしい。
やはり西の方角から、山岳猟兵の持ち物らしい歩兵戦闘車――歩兵をたっぷりと乗せ、大口径砲で火力支援もできる装甲車――が、岩山の斜面を乗り越えて姿を現した。
八両もあるとなると、歩兵部隊も軽く三〇人以上は運べるはずだった。明らかに大型トレーラーを制圧するための用意である。
「思ったより早い。残弾は?」
『私と部下の狙撃砲が合わせて一三発、部下の二〇ミリ機関砲が二門合わせてざっと二〇〇〇発です』
「狙撃砲はなるべく温存してください。わたしの方は弾切れです。ガトリングガンでミサイル迎撃に徹します――んっ?」
『エルフリーデ卿?』
エルフリーデ・イルーシャはふと、違和感に気づいた。
これまで彼女とバナヴィア衛兵ら、五機のバレットナイトは大型トレーラーと並走しながら敵戦車を迎撃してきた。
見晴らしのいい国道沿いでの戦闘は、お互いトレーラーの直撃させないように撃ち合っていたから、
その条件が変わりつつある。
南進している大型トレーラーの前方、七〇〇メートル先に岩山の群れがあるのだ。もちろん道路は上手いことその岩山と岩山の間を通されているのだが、流石に
だが、見晴らしがよくない。ここさえ抜ければ、北部の要衝トゥルバリス市はすぐそこだ――その事実にエルフリーデの勘が働いた。
大地を走りながら、岩山の上を見渡す。
〈アイゼンリッター〉のカメラアイが、岩肌の表面を探査して。
――何かがいる。
エルフリーデは迷うことなく人工筋肉の
「前方の岩山に待ち伏せだ、ロイさん!」
瞬間、大型トレーラーが速度を上げた。車体の足回りへの負担を考え、弾が飛んでこようと焦らず巡航速度を保っていた運転手が、初めてその速度を急上昇させたのだ。
それを合図とばかりに、前方の岩山の上に張り付いていた何かが動いた。
偽装シートが脱ぎ捨てられる。
片膝立ちの姿勢になって起き上がる巨人――うつ伏せの姿勢でぴったりと地面に張り付けば、バレットナイトは大抵の装甲車両よりも車高を低くすることができる。
そして完全な電気駆動であり、常温超伝導を実現しているがゆえに、バレットナイトは排熱をほとんどしない。特務仕様の機体であれば、赤外線探知に引っかからずに地面と一体化するなど造作もなかった。
――うかつだった、別働隊か!
いつの間にか、フィルニカ王国は夜明けを迎えていた。
うっすらと朝日が差し込む
それは例えば、人間の兵士が使う対戦車ミサイルランチャーによく似ていた。四メートルの体躯を持つ巨人に合わせて、およそ二・五倍にスケールアップされたミサイル発射機だ。
アルケー樹脂による装甲防御を突き抜けるべく、高効率の固体燃料ロケットモーターを採用――莫大な推力によって超硬化結晶体を高速で射出する。
運動エネルギーミサイルと呼ばれるそれは、容易く大型トレーラー運転席の装甲を射貫くだろう。
――間に合え!
攻防は一瞬だった。
群青の巨人がまさにミサイルの発射トリガーを引こうとした瞬間、その装甲を機銃掃射が叩いた。
エルフリーデ機の左肩、近接防御用の一二・七ミリ三銃身ガトリングガンが火を噴いたのだ。
刹那、ミサイルが発射される。
高密度・高硬度の結晶体を弾芯として射出する運動エネルギーミサイル――わずかに狙いがそれたミサイルは、大型トレーラーの右二〇メートルに着弾。
恐るべき衝撃波をまき散らし、地面に大穴を
ミサイルが外れた理由は明確だ――機銃掃射を浴びた衝撃、そしてミサイル発射機に付属していたレーザー誘導照準器への被弾――複数要因が重なった末の順当な末路だった。
ミサイル発射機を投げ捨てながら、右腰のホルスターに吊していた散弾銃を引き抜く。
そして岩山の狭間、ゆるいカーブを前にして速度を落とした大型トレーラーに取り付こうと、勢いよく飛び降りて。
――飛び蹴りがその横っ腹を襲った。
エルフリーデの〈アイゼンリッター〉だった。弾切れになった狙撃砲とガトリングガンを
言葉にすれば容易く、そして実行に移す難易度は高すぎる離れ業。
数トンの重量を持った運動エネルギー弾と化した飛び蹴りを浴びて、群青の巨人が吹き飛ばされる。岩山に打ち付けられた機体は、しかし人工筋肉の恩恵で跳ね起きた。
砲声。
ブドウ粒のような散弾の雨――対人キャニスター弾をカイトシールドで弾き、エルフリーデは右肩の鞘から超硬度重斬刀を抜き放った。
縦一文字の斬撃を、群青の巨人が避ける。〈アイゼンリッター〉の間合いから逃れるように、後ろへ飛び退る敵バレットナイト。
はるか彼方に走り去った大型トレーラを見送りながら、岩山で二機のバレットナイトが睨み合う。
『エルフリーデ卿!』
アラン・バリエ隊長率いるバナヴィア衛兵は、押し寄せる山岳猟兵の装甲車両相手に奮戦していた。
どうやら援護は期待できそうにないな、と判断。
エルフリーデ・イルーシャは目の前の強敵を仕留めることに全力を尽くすと決めた。
「バリエ隊長、指揮はあなたが引き継いでください。敵バレットナイトの足止めはわたしがします」
『……ご武運を』
――そして、死闘が始まった。
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