第71話:通信石でステラとやり取りをしていく
通信石を起動してすぐにステラに声をかけていった。
「あ、もしもし? ステラさんですか? 連絡くれて嬉しいです!」
『……』
「えっと、確か今日は隣の領地のカルシュ村に泊まる予定ですよね? という事は今はカルシュ村の宿屋で連絡をしてる感じですかね?」
『……』
「? ステラさん? どうしたんですか?」
通信は繋がっているはずなのに何故かステラからの応答がなかった。ステラから連絡が来たはずなのに応答がないなんておかしな話だ。
(うーん、一体どういう事だ?)
俺は怪訝に思いながらも通信石に耳を当てていった。向こう側の声が聞こえないか集中していってみた。すると……。
『……ぁ……はぁ……』
「……えっ!?」
すると通信石の向こう側からステラの声が小さく聞こえてきた。しかもその声はどう聞いても非常に弱っている様子の声だった。
「す、ステラさん!? どうしたんですか!? 大丈夫ですか!?」
『はぁ……はぁ……あ……セラス……くん……?』
「はい! セラスです! 一体どうしたんですか!? 何があったんですか!?」
俺は急いでステラさんに向こう側の状況を尋ねていった。ステラさんのこんなに弱った声が聞こえてくるなんて一体何があったんだ……?
『はぁ、はぁ……セラス君。慌てないで聞いて……カルシュ村に……魔族が襲撃してきたの……』
「え……えっ!? 魔族が襲撃してきたですって!?」
『う、うん……物凄く凶悪な魔族が突如現れて……はぁ……はぁ……それに大きな蛇の魔物も一緒に現われて村の被害が酷い事になってるの……』
「え? へ、蛇の魔物……ですか?」
『うん。だからセラス君……急いで村長さんにその事を報告して。そ、そして王都に……軍の派遣要請を……ぐぁっ……!』
―― グシャ……
「っ!? す、ステラさん!? もしもし!? もしもし!!」
『……』
俺は通信石に向かってステラの名前を何度も呼び続けていったが、向こうからの応答は一切無く途絶えてしまった。
そして最後の様子からして……ステラはもしかしたらその突如現れたという魔族に襲われてしまった可能性が非常に高い……。
「な、何でいきなり魔族が現れてんだよ!? しかも何でカルシュ村なんて小さな村が襲われてるんだよ……って、あ」
―― 蛇女が逃げだしたって言ってた……。
―― 物凄く凶悪な魔族が突如現れて……はぁ……はぁ……それに大きな蛇の魔物も一緒に現われて村の被害が酷い事になってるの……。
「もしかして蛇女って……アンネリーゼの事か!?」
大きな蛇を使役する魔族なんて俺はアンネリーゼしか知らない。そしてそんな蛇の魔物をメインに使役してるんだから身内から“蛇女”と呼ばれてても何ら不思議ではない。
という事は……やっぱりユキミさんが今まで捕まっていた場所って魔王城だったのか!?
「い、いや、今はユキミさんの事を深く考えるのは後にしよう……そんな事よりも早くステラさんの事を助けなきゃだ……!」
俺はすぐに頭を切り替えてステラを救う事を第一優先に考えていった。
だけど今ステラが滞在しているのは隣の領地にあるカルシュ村だ。そこは俺が今いるオルガ村から馬車を使っても一日以上はかかってしまう程の距離だ……。
「ク、クソッ……! 今すぐステラさんを元に向かうにはどうしたら……って、あっ!」
俺はその時、自分の指にハメている指輪を見ていった。それは転移の指輪だ。対象の人物をワールドマップの何処にでも転移させる事が出来るレアアイテムだ。
「そ、そうか! この指輪を使えば……!」
奇跡的にこの指輪があれば一瞬でカルシュ村に行ける事に気が付いた。でもステラがいる先には当然アンネリーゼが待ち構えているはずだ。
だから俺はカルシュ村にいる“未来の同僚”と戦うべく、今までずっと蓄えてきた調合アイテムを全て家から取り出していき、そして俺はこう唱えていった。
「
―― ビュンッ!
俺がそう唱えると一瞬にして俺の身体はオルガ村から離れていき、そしてそのまますぐにカルシュ村へと転移していった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます