第23話珍道中?

第一闘技場を出てから三十分経過

翠卿のザコを呼び寄せるザコ臭とでも言うのかそのお蔭でザコが寄って来る。本来なら翠卿のオモチャにされるのだがホーグがそれを許さずホーグが今の所全てのザコの相手をしていた。

それが面白くない翠卿は更にザコ臭を漂わせる。すると出て来る出て来る!

目の色が変わっている者達がナラク達を襲って来る。ナラクは

「師匠。可笑しな術混ぜてるだろ。明らかに実力以上の力を発揮してるぞ」師匠に抗議。

ロロとホーグは少し安心した。自分達では翠卿に何かを伝えるのは勇気が要る。だがナラクはそれが必要無い。

翠卿は「仕方ないだろ、暴走させなければ理性を飛ばせないからな」種明かし。

それにナラクは魔力展開。暴走している者達の動きがあからさまに低下。更に少しずつ弱っていく。

「ホーグ兄さんなら大した怪我を負わせずに終わらせられるだろ?」

ホーグは槍の騎装を出現させ微力な風を発生。それを暴走している者達の足元にぶつける。すると風の衝撃で骨が軋みその場に顔から倒れる者達で溢れる!その光景に翠卿は馬鹿笑い!

「師匠は飽きないよな。俺なら一回やれば気が済むのにな」

ナラクの発言にホーグはたまらず

「待て先生はたまにやってるのか?」問題視。

「騎士教会翠都支部長やってるのに知らないの?俺達の中では常識だよ。そうか俺達のネットワークからホーグ兄さんは抜けてたのを今思い出したよ」

「待て?ネットワークにはそんな情報まで流れてるのか?」そこにロロ。

「そうね。でも大体はナラク発の情報よ。黃都にいる私にとっても娯楽になってるからてっきりあんたも知ってるとばかり」「知らねえよ。かあああぁどうりでお前ら普段通りなはずだよ!」ナラクも混ざる。

「それでも暴走させるのはやり過ぎだとは思うよ。でもいちいち指摘したって師匠は止まらないから。それに面白いし☆」

ホーグは諦めない!

「なら何で先生に抗議したんだ?」

「治療科が無駄に忙しくなるからやり過ぎだと判断したら枷になってって頼まれてるんだよ。だからさっきの抗議は治療科の訴えだよ」

ホーグは「あの治療科がお前に訴える程なのか?」もう呆れた。

「それに今回はおとなしいもんだよ。多分俺のギルドに初めて行くから程々にしてるんだろうね。そうだろ師匠?」

「それはそうだ。お前がようやくギルドの領域に入れるつもりになったのだからな。だからちゃんと抑えている」

好奇心で満たされているのにそれを自分で台無しにする訳には行かない。だから翠卿はこれでもナラクの機嫌を損ねないレベルで振る舞っている。

ホーグはナラクに訴える。

「抑えるのではなくやらないという選択肢はないのか?」「無いよ。前ホーグ兄さんと同じ願いを口にしたら、私の楽しみを奪う気か?って殺意剥き出しで言われた時の俺の心境ホーグ兄さんなら想像出来るだろ?」「先生に殺意剥き出しにされたのか?」「ああ、ホーグ兄さんも温室暮らしで緩んでんだな。そうでなければ翠卿クラスにいた頃は絶対に言わなかったぜ」

ホーグは侮辱されたのに文句さえ言えない。ナラクは間違いなく鋭利。今でさえ何かしらの鍛錬中なのはホーグでも見抜ける。つまりこの状況は修行の一環!

だからホーグは意識を変える。

「お前の領域ってどうなってるんだ?一回も行く機会がなかったからな。聞いた内容は行かなくて済むなら行きたくないっていう評判しか聞かないからな」

「そうだな。確かに来る理由が無いなら来なくてもいい領域だよ。それでも俺にとって指環屋としてやって行くのには必要不可欠なのは間違い無い」

ホーグは言葉の意味を探ろうとするがどれだけ考えても答えは出ない。

ロロも行った覚えは無い。それでも想像はつく。

「多分地獄みたいな所でしょ。ナラクが一般常識みたいな領域を創る訳ないんだからとにかくコイツラを捌くのに集中しなさい」

ナラクは師匠に訊く。

「師匠、あの力の気体どれだけの範囲までぶち撒けたんだよ」

「確かにそうだな。今回は一度だけだからな。大体片付いただろ。それでロロとホーグの会話を聞いていて心配になったんだが私が入っても壊れない地獄みたいな領域でなければ本当にお前のこれまでの成果を台無しにしてしまう、そうはならないだろうな?」

「師匠はいつも俺の心配するよな。なら心配無用だよ。師匠の心配が現実になった覚えは俺には一度も無いぜ」

「その言葉を信じて良いんだろうな?」

「大丈夫だよ。それよりまだ俺に会おうとしてる連中がいないかの方が心配だよ」

「会う?何だそれは?」

「呪怪展開事件だったか?それを引き起こした原因が俺の指環って聞いてそれを創ってくれっていう領域の近くに陣を構えてる連中がいるんだよ。それがまだいるならどう追っ払うかの方が心配の種だよ」

「成程な。なら私の力を使えば良い」

ナラクは魔力展開。暴走している者達を解析が終わり、その者達だけに通用する縛りを展開。

すると暴走していた者達は動けなくなり崩れる。息はちゃんとしている。

「全くこうやって俺の魔力具合を視る為にいちいち試すのそろそろもう終わりにしない、師匠?」

「ならそろそろ私を安心させて見ろ。そうすればお前を付き合わせるのはやめよう」

「それでロロ姉さんはともかくホーグ兄さんも俺のギルドに付き合わせようとしてるのか。勘弁してくれよ。俺はただロロ姉さんに指環を渡すだけなんだから」

「それを言うなら私にも当てはまるだろ。弟子が本当に約束を果たすつもりがあるかどうかを確かめるというな。だからお前のギルドに行っても良いと言うのだからはっきりさせなければな。本当に私の期待に応えられると言うならな」

ナラクはこれ以上は何を言っても何か返して来るのが理解出来たので歩を進める。その上で

「安心しな師匠。恐らく納得はさせられる」

平常心のナラクが一番おっかないのを知っているロロとホーグ。そしていつも何かを見せる何かを確実にある証拠!

翠卿はザコ臭を消し、威圧感を出す!すると急に正気に戻った連中は必死で走って逃げていく。その様を見てから翠卿。

「なら早く行こう」「最初に始めたのは師匠だよ。まあいいや、さっさと行こうぜ」

ロロはそのやり取りをスルーするがホーグは我慢出来なかった!

「待って下さい!二人の間にどんな約束があるって言うんですか?」

翠卿とナラクはアイコンタクト。ナラクが説明役に。

「約束の内容は俺が師匠に勝つ。それだけ。理由は聞いてないから知りたければ今度師匠に直接訊けばいいよ」

「いや待て。俺達が先生に敵う訳ないだろ!それこそが一般常識だろ?」

「違うよホーグ兄さん。耀騎士で満足してる存在達の一般常識には当てはまらないよ」

「もう一度戦えば次は私が勝つ!」

ホーグの首を掠める一撃!ナラクは

「今の攻撃に反応出来ないなら勝負にもならない。はっきり言うけど耀騎士程度相手にならないのに気付いてるでしょ?つまり耀騎士のままでは俺には一生勝てない。そろそろ意識を変えないと俺に人生を左右する目にあってからだと遅いよ。だから俺にはもう二度と勝てないに意識を切り替えないと」ニヤけながら警告。

ホーグは憤慨!騎域展開!

ナラクはエナジーフィールド展開。

ホーグは勝ちを確信。自分を侮り玄域ではなくエナジーフィールド。

ホーグは騎域でナラクを襲う。さっき味あわせられたものより苛酷な目にあわせる為に!

だが結果はホーグの狙い通りには行かない。エナジーフィールドを全く侵食出来ない。

逆に騎域が侵食され絶望絶望絶望絶望!

ホーグは耐えられずに気絶!

「全くいつからこんなバカになったのかしら?ナラクは耀騎士五名をあしらえるって言ったの聞いてなかったのかしら。それともこんなつまらない冗談をナラクが言うとでも?」

ナラクはまあまあとロロを宥めながらエナジー〈キュア〉をまた掛ける。

ホーグは三十秒程で意識を取り戻した。第一声は「俺はどうして負けた?」マヌケ丸出し。

「どうしてって俺がエナジーフィールドを展開した時点でかな」「そうだ玄域ではなかったのにどうしてだ?」「騎域を感じた時に玄域はやり過ぎだと思ったから。つまりエナジーフィールドで充分だった」

ホーグは充分と言われ本当に絶望した…。

「師匠から何か言ってあげたら?」

「そう落ち込むなホーグ。お前は今までの卒業生の中では下の方でナラクは上の方だ。お前がナラクに勝てる道理など無い」

ホーグは絶望の淵に落とされた…

「本当にもう無理なんですか?私ではナラクに届かないんですか?」

「届かんな」翠卿の冷徹で残酷な一言。

「そんなのはどうでもいい。私は早くナラクの領域に行きたい。付いてくるのだからさっさと立ち上がれ」いつも通りの先生にホーグは

「はい!」考えても仕方ないと普段の自分に切り換えた。

ナラクは自分のギルドへと歩き出しロロ、翠卿そしてホーグも進み出した。


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