第2話「賑やかな休憩時間」
翌朝。山、川、海が広がる絶景。
ジャングルの鳥も色どりを添える。
休憩時間に歓声を上げるミハルとククル。
するとミハルに赤毛の少女ルカが飛びついた。
「追試、合格おめでとう!」
「皮肉でしょ。ふん」
機嫌を損ねたミハルは鼻を鳴らした。
「回復を自慢されたお返し!」
ルカは満足げにククルを見る。
「やっぱり似てる。ファイサル王子に似てるよ。
この子。ねっ。ミハル」
はしゃぐルカ。だがミハルは震え、青ざめている。
「王子の挨拶知ってる?」
ミハルは息をため、大声で叫んだ。
「『俺は神だ!』よ!」
ミハルの震えがルカに伝染した。
この冬の幼子が、ある日突然そんな事叫んだら
「無垢」が台無しだ。
少女たちは一緒に泣いた。高い木で休むガリソン。
ハンモックの彼は感心している。
「あのミハルが『俺は神だ!』か。心意気やよし。
ククルと復習もかねてルカにも教えるか。」
ガリソンは呟き、真剣な面持ちになると
密林から着地。子供たちは驚いた。
靴一つ分浮いている。彼はルカを指差す。
「指南書の1を言ってみろ!」
「はい先生!」
ルカは元気に手を挙げた。
「敵の魔導を封じること!」
得意気なルカ。
ミハルとククルはポカーンとしている。
「その通りだ。宜しい」
ガリソンは髭を撫で、ミハルに親指を立てた。
「芸人の道も厳しいぞ!!」
衝撃!!ミハルは死んだ!!
『ガリソン心象世界』において
『魔導に励む短い黒髪の娘』は
『電波娘』に変貌を遂げている。
「何て事!こんな事が許されていいの!!」
頭を抱えるミハル。
『俺は神だ!笑った者は罰ゲーム!!
ミハル、お前は罰ゲーム!!』
彼女はファイサル王子のしたり顔を思い出す。
「私までイタイ人になったじゃない!
ファイサル王子!」
ミハルはうなだれた。
実に賑やかな休憩時間だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます