有栖の異能力講座1
僕らは三人で顔を向け合い座っている
これから有栖に聞く昨日なぜ光の異能力がわかったのかについて聞くんだけど・・・
「華蓮はいいの?」
「大丈夫だけど、華蓮ちゃんも聞く?あんまりおもしろくないと思うけど」
「聞く」
華蓮は一言だけ言って口を閉じた
「昨日言いかけた話だっけ。えーと・・・何で他人の異能力を知っているのかってことよね」
僕はうなずく。昨日の華蓮でほとんど忘れてしまっていたけど有栖は覚えてくれていたらしい
「まあ簡単に言えば見ただけでわかるの」
「見ただけで?」
正直驚いた。僕はてっきり天津さんが調べていたんだと予想していた
まさか有栖本人が調べられるなんて・・・
「まず私のちか・・・異能力は血を介することで相手のものを知ることができるの。血を直接みなくても、その対象に血が流れていればわかる」
管理局にも似たような能力を持っている人はいる
僕はその人達に見られることなく区分された
東方家の力が可能にした。権力乱用だ
「だから光のも僕のもわかったのか・・・じゃ華蓮のもわかるのか」
「うん、初めて会ったときちょっと怖かった。ごめんね華蓮ちゃん」
そりゃそうだ。だって暴力の化身みたいなものだから
華蓮の耳が心なしか下がっているように見える
「・・・今も怖い?」
「全然!華蓮ちゃんがいい子だってことはわかったし、しっかり制御もできてるしね」
「そ、ならよかった」
華蓮は怖がられるのに慣れているがさすがに面と向かって言われると落ち込むみたいだ
それも昨日今日仲良くなった有栖に言われたら不安になるだろう
安心したの普通に戻ってお菓子をつつき始めた
「制御できているかまでわかるんだ」
「うん、異能力ってね。そもそも血液に存在する遺伝子とはまた違う別の情報体、だから血をみれる私はそこまでわかるの。制御できてなければなんか・・・ぐちゃぐちゃ?って感じ」
なかなかアバウトなんだなその異能
というかそ情報は初耳だ
「よくそういうのしってるね、何かの研究していたの?」
「ううん。・・・知り合いがそういう研究してたの。だから私はあんまり詳しくない。私が分かるのは異能力でわかる部分だけ」
研究というと、北方の方かな
北方家はもともと商人の家系で戦後から経済で日本を支えてきた
現在の日本の大企業の多くは北方の息がかかっていると言っても過言ではない
北方その中でも異能力の研究にかなりの投資をしているらしい
海外企業とも連携して異能力の解明に取り組んでいる
「じゃあ、光の触媒が分かったのもそれのおかげなんだ」
「そ、体外で作用する異能力はその情報体を外に出して操作されてるの。多分それをちゃんと理解して使ってる人はいないんじゃないかな?異能力を使いこなせてる人は本能でそれに気づいているのかもしれない」
これは北方の連中が何をしてでもつかみたい情報だ
北方が把握していないってことは有栖の知り合いは北方にはいないってことか
こんな辺鄙な場所に住んでいるのはこういうのを隠すためだったんだ
「そんな重要な情報僕たちに話していいのか?」
「だってあなたたちは絶対喋らないでしょ」
それはそうだけど・・・
華蓮もうなずいている
「もし喋ったらどうするの?」
「そうね。あなたの血、全部体の外に出してあげる」
怖い。有栖が口にした中で一番怖い
「だからね。お願い」
その上目使いは僕以外に使っちゃダメだよ。有栖
華蓮からの目線が痛い。わかってるよ
「わかった。絶対口に出さないよ」
「私も」
華蓮も同意した。華蓮も絶対喋らないだろうな
僕の秘密もずっと黙ってくれてる
「ありがと。なんで異能力が分かったかはそういう理由かな」
「話してくれてありがとう・・・もしかして食事を天津さんに頼めない理由ってそこから来てる?」
血は自分で調達しなければいけないと有栖は言っていた
視ただけで異能力が分かるっていうのはかなり貴重な存在だ
「そう、なんでもかんでも栄養になるってわけじゃないの。だから必要のある血を摂らないとないとだめ。私はそういう体質なの」
「僕の血はお眼鏡にかなったってこと?」
「そうなの!貴樹の血はすごいの、ちょっと取り込んだだけで力がみなぎってきた」
「そ、それはよかった」
またしても近い
華蓮はけん制するようににらんでくる。手は出さないよ・・・いや出しても・・・いやいや
そんなことより僕の異能力は栄養満点だったらしい
どうりで吸った放課後すごい速さで帰って行ったわけだ
「じゃあ華蓮の血はどうなんだ?」
華蓮は腕を差し出した。吸ってもいいわよって顔だ
「華蓮ちゃんのはいい・・・別にいやってわけじゃないよ!貴樹のが野菜ジュースだとしたら華蓮ちゃんのはエナジードリンクって感じなの。しかも何倍にも濃縮したやつ。飲んだらおかしくなっちゃう」
華蓮は出した腕をすぐさまひっこめた
「絶対飲んじゃだめよ」
「ふふ、飲んだらこの世の終わりかもね・・・」
確かにそんなもの飲んだらぶっ倒れそうだ
天使が見えるかもしれない。いや天使は有栖か
「だから、当分は一口でいいから貴樹の血もらっていいかな?」
「もちろん、いつでも言ってね」
大歓迎だ。一口と言わずに満足いくまで飲んでくれ
って思ったらまた華蓮がにらんできた。口に出してないのに・・・
野生の勘ってすごい
「いずれは僕を呼ばないといけないってこのことを言うためか」
「正解!最初に見た時からおいしそうって思ってたの」
「おいしそう・・・」
まあ仲良くなるきっかけになったのならいいか
僕を食事だとしか思ってないってことはなさそうだし
あ、そうだ。大事なこと聞いておこう
「吸われたあとってまた気絶するのか?」
「ううん、しないようにできるよ・・・もしかして気絶したいの?」
いたずらっぽい笑顔を僕に向けている。かわいい
「いや、それは勘弁してください」
「うん。眠れないときしてあげてもいいよ」
「それは是非おねが・・・
華蓮の目が痛い
「どうしても必要な時はお願いするよ」
華蓮はそっぽを向いた。許してくれたらしい
女子の絆ってやつかな。みさかいなしって思っているんだろうかこの人
失礼な。理性ぐらいあるよ僕だって
「聞きたいことはそれぐらいかな?」
そうだな・・・あと何かあるかな
「ねえ有栖って異能力が制御されているかどうか見ることができるのよね」
「そうよ。なにか聞きたいことあるの?」
今度は華蓮が何か知りたいようだ。黙ってきいてみよう
「さっき私は制御できてるって言ってたけど、どのくらい制御できてるのかわかる?」
確かに僕も気になる。あの事件で制御できていると認められはしけど実際どうなんだろう
華蓮はいつ自分が暴走してしまうかわからない不安もあるんだろう
「そうだな~。うーん大体三割ってとこかしら」
「「三割!?」」
二人そろって大声を出してしまった
有栖が耳をふさいでいる
「ご、ごめん」
「ごめんなさい・・・」
「耳が壊れるかと思った・・・」
ほんとに申し訳ない
「三割といってもちゃんと抑え込むってことでは制御できてるよ」
「抑え込む・・・か」
「制御って言っても一つじゃないの。抑え込むっていうのもあるけど、使いこなせていれば七割、暴走状態を意図的に出せて自我を失わなけれが九割。異能力本来の力をすべて使いこなせたら完璧ってところかな」
だから抑え込める今の華蓮は三割か
「私は完璧に制御できてると思ってたわ」
僕もそう思ってた。でも暴走しないってだけじゃダメなのか
「じゃあ、僕はどう?」
「うーん五割ってとこかしら」
見つめられてうれしかったが、五割かまだまだだな
「私の異能力ってどうすれば完璧に使いこなせるの?」
「訓練あるのみね!」
まさかの脳筋だった
「異能ってのはね、使えば使うほど体になじんでくるの。まずは異能と仲良くなるのが先決ね。やりたいことを全部きいてくれるようになったら完全制御成功ってかんじ」
「なんだか異能力が意思をもっているみたいだな」
「もってるよ?みんな」
・・・・・・・・・・・・はい?何言ってるんだこの子
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