最高で最悪な「おぞましさ」を味わう

 この作品を一気読みし、あまりの衝撃にこのレビューを書くためにカクヨムのアカウントを作成しました。

 自分はカクヨムのモキュメンタリーホラーを他にもいくつか読んできました。しかし、この作品は一線を画しているように思われます。このレビュー欄の雰囲気を壊すようですが、若輩者としては「最悪」としか形容できません。何一つ大丈夫ではない……
 こういったジャパニーズホラーを書くにあたって必要なものが何か、まざまざと理解させられました。それは理不尽さと、悪意と、報われなさです。主役級の三人は非常に巧みな手腕で魅力的に描かれ、しかし誰一人、ヒトとして報われない。
 隙自語でたいへん申し訳ないのですが、私はハッピーエンドを愛しています。家族という関係を不可侵なものだと思っていますし、愛と義憤は理不尽と悪意に打ち克つと信じています。しかしこれは冒険活劇ではなく、恐怖創作ですから、愛も義憤も実を結ばず、彼らはかぞくになりました。
 SNSでたびたび「最高に面白かったけど二度と見たくない作品」というものが話題に上がりますが、私にとってこの作品がそれになりました。私のようないわゆるハピエン厨を恐怖・悲しみ・絶望のズンドコに突き落とす最恐のホラーです。生まれて初めて創作物に対してあまりの悔しさに号泣しました。最後の「ハッピーエンド」の描写には気が狂うかと思いましたが、怪異のネタばらしをしながらも、最後の最後まで「おぞましいもの」をおぞましいまま描ききり、完結させた筆力には脱帽せざるを得ません。
 長々と書きましたが、とにかく邦ホラーとして傑作です。メイン三人全員好きですが、特に好きになったのは藤村勇那でした。このようにキャラ萌えするとえらい目に遭います。本当につらい。
 せめていつか未来、寺生まれのTさんみたいな人の手によって三人が解放されることを願ってしまいます。かぞくにならずとも、彼らはずっと仲良く、くだらない冗談を言い合いながら、一緒にいられるはず、と信じたくて苦しいです。
 長々とお目汚し失礼しました。とても実になる読書体験になりました。