第120話 旅立ち

戦いが終わり、数日が経過した頃、一馬はいつものように穏やかな日々を過ごしていました。町役場の受付を手伝ったり、近隣の農地で農作業を手伝ったりしていましたが、どうにも胸の奥にくすぶるものがありました。その心の中で燻っているものが、彼をどこか満足させていないのです。


ある日、彼はふと、あの日の女神の言葉を思い出しました。「私の世界で、農業をしてくれませんか?」その言葉が、まるで新たな冒険への呼び声のように響き、一馬の心に火を点けました。そして、まるで稲妻に打たれたかのように、ひらめきが頭を駆け抜けました。


「そうだ…まだ終わっていない。」彼は思うままに足を動かし、向かった先はフォレスト・エスケープでした。そこでナビィに挨拶をし、切り出しました。「ナビィ、国の外にはまだ農業が発展していない貧しい地域がある。それを俺と一緒に救いに行かないか?」


ナビィはその提案に目を輝かせ、すぐさま賛成しました。「もちろん、行こう!私たちならきっとその地域を豊かにできるはずよ。」


一馬は準備を始めました。彼は様々な種類の種を小さな袋に分けて、エアライダーに積み込みました。ナビィもまた、小さなリュックサックに少しの種を入れ、飛び立つ準備を整えました。


「さて、行こうか。」一馬が微笑みながら言うと、ナビィは軽やかに頷きました。


二人はエアライダーに乗り込み、初めて向かう場所は、国外の小さな国の最初のクレストンに似た町でした。そこには、彼らが持つ技術と知識で救える人々が待っているに違いありません。


新たな冒険が始まる瞬間、一馬の心は再び燃え上がっていました。彼が今持っているのは、戦争で得た知恵と、農業で培った技術。そして、何よりも大切なのは、人々を助けたいという強い意志でした。これから訪れる日々には、また新たな挑戦と、彼らの力で築かれる未来が待っています。

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