第92話 対戦型カジノ

一馬は日々の忙しさの中で、クレストンの町の法律を改めて確認することにしました。そこで彼は、ギャンブルに関する規制が非常に厳しいことに気づきました。「ギャンブルをしてはいけない」という法律が存在し、人々の娯楽の幅が狭められていることを感じ取った彼は、この法律を解体することを決断しました。


彼の目指す新しい娯楽は、従来の賭博とは一線を画すものでした。クレストンに新設されたカジノは、単なる賭け事の場ではなく、対戦形式のボードゲーム専用のカジノとして設計されました。この形式を採用した理由は明確です。従来の賭博、例えば競馬や宝くじなどは、胴元が圧倒的に有利であり、参加者が利益を得る可能性は非常に低いものです。しかし、対戦形式のカジノでは、プレイヤー同士が競い合うため、勝負の結果は半々となり、公平性が保たれるのです。


カジノの運営は町が直接行い、入場料は安く設定されていました。これにより、誰でも気軽に参加できるようになり、掛け金の額も自由に設定できる仕組みが導入されました。賭け事は賭け事であっても、ここでの勝負は頭脳と戦略が求められるものとなり、ギャンブルそのものの性質が変わったのです。


さらに、このカジノでは、世界初となるバックギャモンの世界大会が開催されることになりました。バックギャモンは、この世界ではあまり知られていないゲームでしたが、一馬の発案により、瞬く間に人気を集めることになりました。参加者の参加料は賞金総額の一部として積み立てられ、大会が進むにつれてその額は驚くべき金額に達しました。


大会は熱狂的な盛り上がりを見せ、クレストンは一気に世界中から注目を集める町となりました。町のカジノは、ただの娯楽施設を超え、人々の知識や戦略、そして公平性を重んじる新しい文化の発信地となったのです。これにより、クレストンの経済はさらに活性化し、一馬のもとに訪れる人々の数も増え続けることとなりました。

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