第17話 繋がり始める“疑問”と“疑惑”
以前
「さあーーーてお約束だぁ、手前ぇら
僕達は“何者”か―――その
僕達は“何者”か……こんな『仮想』の空間でしか自分を主張できない僕にとって、この『宿題』ほど難問はないだろう。 『根暗』で『オタク』で『引き篭もり』な奴なんて大概が“他”に依存をしている、その“他”と言うのも『人間』ではなく『(アニメやゲームの)キャラクター』と言ったところだ。
そんな
「そんなん決まった事じゃないか、私は“私”だよ……」
そう言えば“彼女”は出会った
確かに“彼女”は光だ、自らが
だと、僕(と僕達)は思っていた、少なくともその時までは……
けれど意外なことが発覚してしまったのだ、それというのもインコグニートが僕達に『宿題』を
だから―――本来ならヒルダさんとインコグニートは互いを知らない他人と言う事になる…。
「やぁーっぱあんただったか…“ヤベえヤツ”」
「そう言うあんたこそ『
「フフン~気が利いてんだろ? こいつらみたく若い
「だからと言って子供のままでいられるはずもない、そこんところは同感だよ―――
どこか―――そう、どこか互いを知ったかのような発言…だけど
“僕”とは違いそれぞれの“
「ひひひヒヒヒ―――ああ全くもってその通りだよ、しかしそれにしてもよく似てやがる、オレが会った事のある且つての“あいつ”に」
「“あいつ”―――だって?」
「ああ、そうだよ あんたによく似た雰囲気を醸してるヤツ、オレ達と初対面だった時もその強烈な“自我”ってヤツを押し隠しもせず、当時強烈な“色”をしていたオレ達に染まりもせず、この広い世界を所狭しと駆けた奴がいた、確か“あいつ”は本名の他に妙な名前を名乗ってたもんだ…」
「なによ…その―――『本名以外に名乗ってた名前』って…」
「何だったかなあ~~~長ったらしい名前みたいなもんだったが―――妙に恰好よくてな、当時絶賛『厨二』してたオレ達の胸に刺さったもんよ」
そして
それが
―――【閉塞した世界に躍動する“光”】―――
「なんで―――あんたがそんな事を…」
「ぁあ?違ったかあ?そう言うあんたもそうじゃないのかい【閉塞した世界に躍動する“光”】さんよ」
「それよりも待って、そんな事をどうしてあんたが」
「『知っているのか』不思議かあ?まあオレも当初は半信半疑だったもんさ、なにしろ人間様が創った『仮想』の空間に突如異世界のエルフが紛れ込んでくればなあ?ただ―――あの時オレ達は感じたのさ…作り物の中とは言え妙に“生々しい”
ヒルデガルドさんの本当の名前―――けれどそれをインコグニートが以前会った事のある異世界から来たエルフもそうだった…と?するとならば
「おい、ちょっと待てよ…今何て言った?私の聞き間違いでなきゃとてつもなく不適切な事が聞こえてきたんだが…」
「ぁあ?『不適切』―――?」
「さっきあんた自身言ってたろ!『“あいつ”とは
「ああーーー『シェラザード』の事か? びっくりしたもんよ、今じゃ会った時の
ヒルダさんとは違う異世界出身のエルフの名…それが『シェラザード』と言うエルフだった、しかもそのエルフもヒルダさんと同じ様に【閉塞した世界に躍動する“光”】―――って事は??
「そうか…そう言う事か……だったら参考までに教えてやんよ! その名前はな、この私の娘だ!その娘があんたみたいな存在と『濃密な時間を過ごした』ぁあ゛~?お前ぇ…死ぬ覚悟はできてんだろうなぁ」
「ふヘヘヘ―――やっぱ感じた通り“ヤベえ”ヤツだ、怒りに任せてキレ散らかしたあいつと同じだ、だあーからああーーー1度目は尻に帆を撒いて逃げたって訳よ、だけどなあ…」
「その危険を周知の上で再び僕達の前に姿を晒した……」
「それって、もしかしなくても既に手を講じてるって事?」
「おお正解だあーーー『乙女』な“ガチムチ髭面中年男”ちゃん、それに今のオレはあんたと事を構えるつもりはさらさらねえ―――だからそいつを収めさせてくれねえもんか」
普段のヒルダさんはどこか
いや、問題はそんな処ではない、先程も言ったようにヒルダさんは周りに流されない―――少し口を悪くすれば『我、事に関せず』を地で行くような人だ、そんな人が…初めて感情を顕わにした―――またそれに伴い外見上も激しく変わっていたのだ。
まるで“羽”や“葉”をモチーフにしたかのような、そんな衣装とも言えないようなコスチュームに身を包み、背には翼が生えているかのような??おまけに体全体が僅かながらに発光しているみたいだった。
お伽話や伝承で伝わるような『天使』にも似た存在―――それが本来のヒルダさんの姿?!
それにこの状況を視るのに限り今のヒルダさんは激しく怒っている、自分の娘が
とは言えインコグニートの意図が判らない、こんな風になる事は彼の方でも判っていたはず―――なのに…だから1度目はヒルダさんと接触するまでに引き上げたと言うのに、なのにまた危険を冒してまで僕達に
「ひとつ―――勘違いしない様に言っといてやるぜ、オレは何も【
「はあ?ならどうしてわたし達の前に…」
「そうよね、それにそんな事を判ってて敢えてやるって意味が判んない」
「お前―――…」
そう、
インコグニートが…僕達の前に姿を晒した本当の理由―――
「ひひヒヒヒ―――いいねえ~実にイイ、そうしたヒリついた視線浴びんのはこの上ない快感だ ま、そう言う事さ、本来なら何も言わずにさっさと“次”に行けばいいまでの話し、要するにだ以前“おこばあちゃま”から請け負ってた“お仕事”の報告、無事に済んだんだわ それで報酬をたぁんまり頂いて―――これで終わり…かと思ってたんだがなあ?」
「その様子だと追加で“お仕事”が発生したとでも?」
「さぁっすが―――察しのお早い…こう言ったのは“広く”“浅く”が信条だったのになあ…」
「同情してやる余地もないね、それよりなぜそうなったか―――」
「そんなん決まってんだろぉ~【
「
「ひひ―――言ってくれるねえ~ええと…」
「『ヒルデガルド』―――お前が手を出してくれた『シェラザード』の母親だよ」
「一族揃っておっかねえ存在って事に変わりはねえか、取り敢えずは時間だ…本来の目的は聞きそびれたが、また会う機会もあろう―――諸君、さらばだ! はあーっははははは」
インコグニートがそれまで請け負っていた“お仕事”と言うのは、その報告をもって終了―――と言う訳にはいかなかったらしい、そう彼に“お仕事”を発注していた依頼元でもある“おこばあちゃま”なる存在が、また新しい“お仕事”を用意して待ち構えていたみたいなのだ。
その事に僕達は同情してみるもののヒルダさんはそうではなかったらしく、自分の愛娘をどうにかした存在の更なる不幸が降りかかってきた事に内心ほくそ笑んでいたようなのだ。
それにしても不思議だった、だとしたらあの『宿題』とは何だったのだろう、その解答を聞きもせずにインコグニートは僕達の前から去ったのだ、それもヒルダさんと出会ってしまうと言う危険を冒してまで。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
やってしまった―――完全に私の“ミス”だ、『らしく』なく国に残してきた娘の不遇を知ってつい頭にキテ本来の姿晒しちゃうなんて……
ケント辺りはあった出来事で深く考え事をしてくれそうだけど…こっちはそうは行かないみたい―――私が
「あ、あのーーー嫁ちゃん?な、何なのかなあ…」
「それよりヒルデさんあの恰好ナニ?すっごい恰好よかったんだけど―――」
お、おぅぅ…喰い付きがスゴいな、顔が近いったらない、それにこの子『投稿サイト』の売れっ子(までかどうかまでは知らないが)の作家さんだから、そう言う人の前でなるべき姿じゃなかった―――と、今更ながら猛省中なのでありますのだ。
けれどまあ子を持つ親の心情としては判ってもらえると思う、可愛い我が子があんな下衆いヤローの毒牙にかかったと知ったとあっちゃあ居ても立ってもいられやしないだろう、それにーーー私としては瞬殺するつもりでいたのにさあ、なんていうかーーー
で
それはそれとして―――だ、やはりみっちょんの方は信じていた人からの裏切りがあったと判ってからは“しょんぼり”としていたものだった。
通っている学校の中でも以前までのような活発さは鳴りを潜め、授業中にしても休み時間にしても何かを考えている風だった…
この時の私の弁護をするには―――うん…仕方がないと言うべきか、私もそう言う経験がないわけじゃないから、そう言った状況に陥った人への対処の“ひとつ”として“そっ”としておく…ああ言ったのは下手に障っちゃうと周りに甚大な被害をもたらしちやうからな。
だけど―――今回はそれが裏目に出ちゃった…と、言いましょうか……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
僕は今、校舎の裏庭にいる。 これはもしかしなくても―――と思われるかもしれないが、残念ながらそうではない。
こうした状況は主に『いじめられ』キャラが『いじめ』キャラ達に呼び出されて暴力行為を働かれるということになる。 以前までは僕の身に起きていた常態的な事柄ではあったのだが、いまではヒルダさんのお蔭もあって僕をいじめようとするヤツらは駆逐されてしまったのだ。
だとしたら―――だ…僕を校舎裏に呼び出した存在と言うのは“誰”?
うん…と言うより、今のこの状況は僕ですら望んでいない、変な事を言うようだが、こう言う事になるならまだ僕をいじめていたヤツらの方がまだましだとすら思えてくる。
て、言うかなんでだよおぉぉぉ~~~何であんたが―――
「ねえケンち、わ、わたしの悩み聞いて貰えないものかな…」
またちょっと変な事を言います、
それが…それがどうして『トリプルブリッヂ・コーポレーション』のご令嬢である
つまりはそう言う事だ、『
それに三橋さん…頬を
「な、なんでしょう…三橋さん」
「あのね、わたしね、ケンちにお願いがあるの…」
その時の彼女は“いつも”の派手な恰好をしていなかった…人工的な光で肌を焼いたり、爪に大小さまざまな石(みたいなの)を散りばめたり、まつ毛を盛大に盛ったり、メイクも高校生とは思えないくらい派手だった―――のに…あんな事があってからと言うものは自分を飾る事が出来ないまでに思い悩んでおり、そうしたモノも薄まりつつあった。
そんな彼女から“お願い”をされてしまったのだ、そう―――
「がるどっち、あの時あいつ…『インコグニート』ってヤツの『雇い主』“おこばあちゃま”って人の事も知ってた感じだったよね、だからケンちの口添えであの人に会える算段つけてもらえないかできないもんかな。」
あ。 そっちでしたかあーーーいやあ“ホッ”としたというか何と言うか…だってほら、僕って対人弱者だから同性同士でも苦手なんだけれど、これが異性で…しかも恋愛絡んだりしたらヨユーでタヒねますよ? それにこの人とは(一応)“フェイク”だとしても『婚約』までしちゃってることだし―――『
―――{※フラグが立ちました※}―――
ん?なんだ今の―――
僕のイマジナリーフレンド“様” はじかみ @nirvana_2020
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