賭け試合

賭け。

その言葉に反応する二人。

一体、何を賭けると言うのだろうか。

遠崎識人は、二人が興味を持った事を感じながら、話を続ける。


「先程確認した所、負債証書を返済するには1万ポイントが必要なんだよね?けれど、そのポイントを貯めている間に、俺が代わりにポイントを支払うから、その分が上乗せされてしまう」


負債証書ではたった1万ポイントの負債を背負うのだが二人はポイントを所持していない。

しかし、他の生徒とバトルを行えば、決して返せない額では無い。

だが、ポイントが無ければ、他の生徒とバトルする事は出来ない。

なので、責務者にポイントを借りてバトルをしないとならないので、その分のポイントが負債にされてしまう。

更に、負債証書では責務者に対する金利も発生し、十日で一割の金利が発生する。

時間が掛ればかかる程に、借金が雪ダルマ方式で膨らんでいく。


「けれど、譲渡自体は可能、それは無論、キミたちにもだ」


遠崎識人の言葉に、二人は淡い希望を浮かべた。


「もしかして、あんた」


鞭野瑪瑙は、遠崎識人が何を賭けに出そうとしたのか察したらしい。


「うん、このゲームで、一勝でも出来たら…キミたちに負債証書を譲渡しようじゃないか、どうだい?これで本気を出せるだろう?」


負債証書を譲渡すれば、自らの意思で破棄する事が出来る。

そうすれば、ポイントは0のままだが、奴隷としての契約は無くなると言う事だ。

一縷の希望を持たせた所で、遠崎識人は二人にこちら側が勝った場合の条件を口にした。


「まあ、その代わり、一勝も勝てず、俺が勝った場合だけど…その時は、キミたちを一晩中、抱かせて貰おうか」


一勝。

たった一勝さえすれば、負債証書を譲渡してくれる。

こんなに簡単な条件は無く、まさに破格と言ったものだろう。

改めて遠崎識人は二人に伺った。


「どうだい?これで俺も負けるワケには行かなくなった、本気でやり合える状況と言うわけだ」


バトルをするかどうか、二人に質問をする。

先に答えたのは、白宮桃花だった。


「…やるよ、やらないと、遠崎くんを、楽しめないんでしょう?」


「ッ、その約束、後悔してなさいよッ、たった一勝すれば良いんでしょ!?」


すっかりやる気になった二人を見て、遠崎識人は微笑んだ。


「うん、ついでに二対一で良いよ、ステージも君達が決めれば良い」


更に加えて二対一。

選択するステージの権利も、彼女達が決めて良い事となった。

この破格の条件に対して、鞭野瑪瑙は内心ほくそ笑んだ。


「(こんな内容で、先ず負ける筈がないわッ!負債証書を返して貰ったら…お姉様に報告して、この男を処分して貰いましょう)」


と、脳内で自分が勝つ姿を思い浮かべる鞭野瑪瑙だった。

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