詩の書き方

古びれた文字と紙とペンの所有者の自分だから


言えることはとても少ない


まるで自分というノートの上に


血を滴らせるかのような感覚


わたしという文章の連なりは


いずれ誰かへと届くのだと


腕を噛んで震えながら待つ



体が重いわけではなかった


ただわたしに乗った


わたしの上の空気が重かった


鎖が血管の中を通っている


肺の中に溶岩が溜まっている


そんな妄想はすべて夢だった



ひとりではいたずらに死なせるだけ


何度も殺した夢や希望と


ねっとりとした恐怖の


出処はどちらも不明だった



まずいのは終わりへの期待で


交わりはしない


そこにはただ興味がある


先の見えない興味がある


わたしにしか判らないわたし以外への興味がある

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わたしが・書いた・詩 静谷 清 @Sizutani38

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