その目、何の目?
- ★★★ Excellent!!!
夢と現、生者と死者、地方と都会、持つ者と持たざる者。
……見るものと、見られる者。見た者と見えぬ者。
因習といえばホラーでは舞台装置の歯車として扱われるパターンが多い。
されど、昔から途絶えることなく紡がれる郷土たる歴史であるのを忘れてはならない。
続けるのには意味があり、語られるのには理由がある。
この作品の特徴は、郷土の歴史、そこに住まう人々の日々の生活、その文化を下地にして、しっかりと展開させていく点である。
地方にありがちな固守めいた価値観、持つもの、持たざるものの違い。
怪異とは何か、何故死ぬ、殺されるのか。
そも怪異とは、未知なるもの、死や恐怖などの負の側面を、概念たる形で作ったもの。
何故いるのか、ではなく、人間がいるからで落としこんでいるのが、また恐ろしい。