第89話

『加勢する!』


叫びシャウトチャットで、ガーランドがPKプレイヤーキラー3人組に聞こえるように叫ぶ。



広域シャウトチャット:叫び★

*大声で周囲に知らせる事のできるチャットモード。


《えっ……!?》


水無月、ラクス、彩の3人がガーランドの言葉に耳を疑う。


『スマン! 恩に切る! 連合を飛ばす!』


弓使いのアランが、シャウトで言いながら、私たち4人のパーティーリーダーである、私に連合申請を飛ばしてきた。



★連合★

*個人:パーティー:ギルド間で組む事ができる。

*連合に所属すれば、プレイヤー同士が使うスキル(攻撃)に当たり判定(同士討ち:フレンド・ファイヤー)が出なくなる。

*同じ連合にだけ効果があり。 違う連合同士だと攻撃は当たってしまうので注意。


弓使いのアランの言葉通りに、私たちに向かって連合申請が飛んできた。


盾当てバッシュ! 回転盾当てローリングバッシュ!」


ガーランドが更にスキルを当てて、NMネームドモンスターの動きを止める。


加速突きアクセル! 換装1


全力振りフルスイング! 全力二連撃ダブルスイング!」


大剣使いのカインが、NMネームドモンスターに追いついてスキルを放つが。


アランの連合申請直後にスキルを放ったために、ガーランドはスキル後の僅かなスキル硬直に入っており、連合に入っていない事になるために、カインの攻撃に巻き込まれてHPゲージを3割ほど削られてしまう。



「ガーランド!」


水無月がガーランドに向かって声をかける。


「スマン!」


大剣使いのカインが、慌ててガーランドに謝罪を入れる。


「早く!連合申請を承諾しろ!」


弓使いのアランが、通常攻撃でNMネームドモンスターカネモチィーに攻撃しながら言ってくる。


その間に、片手剣使いの小次郎が、「盾当てバッシュ!  敵対値増加ヘイト敵対値増加・範囲ヘイトオーラ!」スキルを使い、カネモチィーの敵対値を上げる。


私は慌てて、目の前に映し出されている、アラン達から飛ばされてきた連合申請のパネルの【OK】を押して受理する。


「どう言う事よっ!?」


あやが困惑しながら叫ぶように言う。


「超レアなNMネームドモンスターなんだよっ! コイツは!」


小次郎が、あやに負けじと叫ぶように返事を返してくる。


「発生確率〝1億分の1〟の確率でPOP湧くする。


レア中のレアNMネームドモンスター、 金色のカネモチィー。


通称〝オオカネモチィー〟だ。」


ガーランドが、オオカネモチィーの後ろに回り込みながら言う。

 

そして、改めてNMネームドモンスターの方に視線を向けて良く見ると。


確かにWebで見た、カネモチィーの色は水色だったのに対して、この目の前のNMネームドモンスターのカネモチィーの色は金色だった。


「討伐成功獲得ゴールドは! 500万ゴールド~800万ゴールドだ!」


オオカネモチィーを、矢で居抜きながらアランが私たちに伝える。


「そんなにっ!」


「持ち切れないでしょ!?」


ラクスの驚きの声に、彩が言葉を被せる。


そう、通常でのプレイヤーが持ち歩けるゴールドの金額は。


筋力STRと、体力STMの多いプレイヤーでも、最高で20万ゴールドも持ち歩ければ良い方だ。


「はぁ!?  なんだぁっ! 知らないのか!?


 ウェイトを超えて、一気に入る討伐報酬金額は小切手で入手できるんだよっ!」



★小切手:祝福ブレスアイテム★

*死亡しても、死体の中に残る事のないアイテム。

銀行預り所の中に入れておく事で、自動的に買い物の時に引き落とされる。


小次郎が、呆れたような口調で言ってくる。

 

その間にも、アラン、カイン、ガーランドは金色のカネモチィー。通称:オオカネモチィーに攻撃を加えている。


確かに、それだけのゴールドを獲得できるなら、PKプレイヤーキラーとかしている場合ではない。


ましてや、今は周囲に私たち以外のプレイヤーは居ない。


思わず頬が緩むのが自分でも分かってしまう。


などと、私(水無月)が考えていると。


「言っておくが、1人に付き500万~800万ゴールドだからな。」


弓使いのアランが、金色のカネモチィーに攻撃を加えながら言ってくる。


《えっ……。》


私、ラクス、あやの動きが、アランの一言で完全に止まってしまう。


「手を止めるな! コイツの討伐には制限時間があるんだっ!


POP湧くしてから、リアルタイムで2時間経過したら消えるんだっ!」


POP湧く確率1億分の1に加えて、出現の制限時間付き。


いつ何処でPOP湧くするのか解らない上に、そこに人が居ないと消えていなくなる。


そりゃ、ガーランドも、突然加勢する訳だ。


争っている場合ではない! 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る