第88話

** 正式サービス開始から130日目 **



強斬撃スラッシュ! 二連強斬撃ダブルスラッシュ! 盾当てバッシュ!」


水無月の剣が閃き、目の前のレイドモンスター【オオカネモチィー】のHPを削る。


★オオカネモチィー:ネームドモンスター★

*昆虫型のモンスター。

*体長:3メートル 体高:1.5メートル。

*カブト虫のメス型の姿を連想してください。

*倒すと大量の金塊を取得することが出来る。

*攻撃力は低いが、とにかく硬い。



魔力の弾丸エネルギーボルト! 炎の玉ファイアーボール!」


彩の魔法が、カネモチィーと、取り巻きの雑魚MOBモンスターの【コガネモチィー】数匹を巻き込み消滅させながら、カネモチィーにダメージを与える。


★コガネモチィー:オオカネモチィー取り巻きMOBモンスター

*体長1メートル 体高:50センチ

*名前に反して、倒しても何も落とさない。



「ギャッギャゥ!」


オオカネモチィーの反撃で、私とガーランドが吹き飛ばされて、2人とも2割ほどのダメージを受ける。


敵対値増加ヘイト! 敵対値増加・範囲ヘイトオーラ バッシュ!」


小次郎が、オオカネモチィーの敵対値を上げて動きを止める。


命中力上昇エイミング! 矢の雨アローレイン!」


オオカネモチィーの動きが止まったのを見て、アランが弓スキルでコガネモチィーにダメージを与えながらも、コガネモチィーにダメージを蓄積させていく。


全力振りフルスイング! 円陣殺サークルエンド!」


大剣使いのカインが、範囲スキルでオオカネモチィーのHPを削りながら、アランが倒しそこねたコガネモチィーを一掃する。


攻撃力強化エンチャント・ウェポン防御力強化エンチャント・シールド!」


ラクスがパーティーに、支援魔法バフをかけてくれる。


私とガーランドは、急いでHP回復薬を自分に使い、HPゲージを満タンに回復させる。


「ギッ! ギッ!」


オオカネモチィーがダメージを受けて声を上げると、周囲にコガネモチィーがPOP湧くする。


コガネモチィーが湧いた瞬間に、ラクスが平和ピースを発動させて、コガネモチィーのターゲットロックを外す。


「換装2。


加速突きアクセル! 換装1。 


全力振りフルスイング! |全力二連撃(ダブルスイング)!」


カインが武器を換装させレイピアに持ち替えカネモチィーの懐に潜り込むと同時に、再び武器を乾燥して大剣に持ち替えて大剣スキルを発動させて、オオカネモチィーのHPとコガネモチィーのHPを削る


「ギィッ!」


だが、スキル硬直で動きの止まった所を、オオカネモチィーの攻撃が直撃する。


カインの攻撃で、コガネモチィーのターゲットがカインに集まる。。


炎の玉ファイアーボール! 回復ヒール!」


彩の魔法が、残ったコガネモチィーのHPを全部削り、回復魔法でカインのHPを回復させる。


「ギィ! ギッ!ギッ!」


オオネモチィーの鳴き声と共に、再びオオカネモチィーの周囲にコガネモチィーが数匹POP(湧く)する。


「取り巻きは、バードの嬢ちゃんに任せろ! 親玉を倒せば、取り巻きは消えるはずだ!」


弓使いのアランが叫びながら言う。


そう。


今、私達3人は、前に出逢ったPKプレイヤーキラー


弓使いのアラン、大剣使いのカイン、片手剣使いの小次郎の3人達と連合を組んでレイドボスと戦っている。



 * * * 数分前 * * *



私たち4人が、狩りをしていた時だった。


突然、大地が揺れて物凄い音と共に、前方から数人のプレイヤー達が此方に向かって走ってきた。



そして、そのプレイヤー達が追いかけているのは、NMネームド・モンスターと言うモンスターだった。



★ネームド・モンスター:略称NM★

*レイドボスと似て異なる存在だが、基本的にレイドボスほど強くはない。

*基本、2人~6人くらいで倒せるNMが多い。

*まぁ、中にはレイド並に強いのも居る。


但し、その追いかけているプレイヤーが問題だった。


赤い色のネームプレート。


つまりPKプレイヤーキラーだった。


そして、そのPKたちの名前を私たちは知っている。


そう、正式サービス開始の間もない頃に、私たちをPKしてくれた3人だった。


弓使いのアラン。


大剣使いのカイン。


片手剣使いの小次郎。


《どうする……。》


と、私は心の中で思いつつ、ガーランドに視線を向ける。


ガーランドは既に、自分の武器(HQ:アダマンタイトソード)を構えて3人の方へ駆け出していた。


報復戦をやる気!?


確かに、あの頃に比べれば。


私たちの装備も、PSプレイヤースキルも格段に上がっていると思う。


いま戦っても、確実とは言えないけど。


それなりに良い勝負はできると思う。


と、私たち3人が思った瞬間だった。


飛翔斬撃刃スラッシュウェーブ!」


ガーランドの剣先から斬撃スキルが飛ばされて、NMネームドモンスターに直撃する。


ガーランドの斬撃スキルを食らって、NMネームドモンスターの動きが止まる。


ガーランドの行動に困惑して、何をどうしたら良いのか解らなくて、水無月、ラクス、彩の思考が停止。

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