第86話 サイド・ストーリー

戦闘もしないで、どうやって特殊材料と秘薬代を稼いでいるんだろう?


「ゲーム内の同居人の人達が、錬金材料と秘薬を渡してくれるんです。


お陰で私は造る事だけに専念できるのですよ。」


これまた笑顔で答える美莉愛おばさん。


「渡してくれるって!? もしかして、全部無料で貰ってるんですかっ!?」


「はい。 その人達が取ってきた、材料と秘薬で錬金アイテムを作って。


それを、取ってきてくれた人達に使って貰うと言う事で、スキル上げをさせて貰っているんです。」


「えっ!? おばさんの作った錬金アイテムって、全部その人達に渡してるんですか?」


叔母さんの言葉に、私も裕司くんも驚きを隠せないでいた。


錬金アイテムで、貴重な錬金アイテムになると、数百万ゴールド単位で取引されることもある。


その価値を知らない叔母さんから、叔母さんを利用するだけ利用して巻き上げている?


「はい。 キャッスルハウスの、共有ストレージに入っている材料とゴールドなら。


好きなだけ使っても良いから、好きな物を作ってくれても構わないと言われているので。」


「「へっ?」」


美莉愛さんの言葉に、私と裕司くんの目が点になった。


おばさん、今なんて言った?


キャッスルハウスって言ったような?。


キャッスルハウスって、確かサービス開始30日間だけの限定販売で。


値段は1億ゴールドだったような……。



どこのサーバーでも、大手(大人数)のギルドしか所有していない〝幻〟のサーバーレアハウス。



「叔母さん、大手ギルドに入ったんですか?」


「母さん、大手ギルドに入ったの?」


私と裕司くんの言葉が被る。


「いいえ。 大手ギルドに入っちゃうと、家の事がおろそかになってしまいますからね。


ギルドには入っていませんよぉ。 その人が、御自分で購入したんです。


その時に、購入資金で少しだけゴールドを貸したのが御縁で、その人のキャッスルハウスに御世話になってるんです。」



サービス開始から、僅か30日で1億ゴールドも貯めるって。〝その人〟は、どれだけ廃人プレイしてるんですか……。


もしくは、RMTリアルマネー・トレードで、ゴールドでも買ったのかな?。


RMTリアルマネー・トレード:ゲーム用語★

現実リアルでの現金で、ゲーム内での通貨やアイテムを買う事を指す。

*一般的には、RTMでのアイテムの買取は禁止されているゲームの方が多い。

*まぁ、禁止されても、ゲーム内でのトレードが出来る限りは、やっているプレイヤーも居る。

*ゲーム規約に反するだけで、法律的には違法ではない。

*USOでは、特に禁止などされてはいないが、何が在っても運営は関与する事はせず、全てに置いて自己責任の扱い。

    

*ただし、現金が支払わなかった時には、詐欺扱いに為るのでご注意を*



どっちにしても、持ってる人は、持ってるんだなぁ。



「「はぁ、羨ましい……。」」


私と、裕司くんの溜め息が重なる。


「水ちゃんと、裕くんは、USOで仲良しの人は出来た?」


「うん。 沢山はいないけど。 それなりに仲の良い人たちなら居るよ。」


笑みを浮かべて言う裕司。


「はい。 私は、その人の作った小さなギルドに入らせて貰っています。」


私も笑顔で答える。


食事が終わってからも、小1時間ほど3人でUSOの話題で盛り上がり。


私は自分の家(隣の号室)に戻って、USOにログインする。

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