フィーアサーバー編

第85話 サイド・ストーリー

* * * 正式サービス開始 80日目 * * *



「今日は学校が終わって、帰宅中に隣の部屋に住む親戚の叔母さんと、バッタリとマンション前で遭遇する。



そして、そのまま夕食を御馳走になることに。


自分の部屋に戻り、シャワーを浴びて、急いで髪を乾かしてとなりの部屋のインターホンを鳴らす。


少しの間を置いて、鍵を開ける音が聞こえてドアが開く。


「今晩わ、裕司ゆうじくん。 お邪魔するね。」


「いらっしゃい、水姉みずねえ。」


私は、ドアを開けてくれた裕司君に挨拶すると中に入っていく。


中に入ると、既に料理がテーブルに並べられており。


美莉愛みりあ叔母さんが、グラスを持ってコッチに来た。


「ささ、座って座って。 お腹が空いてるでしょ。」


ニッコリと笑みを浮かべて、美莉愛おばさんが言う。


叔母さんは、私の父の実妹に当たる人で、名前は【敷島しきしま 美莉愛みりあ】。


当年46歳なのに、どこからどう見ても18歳前後にしか見えない天然ロリ……。


じゃなくて、天然若作り……。


もとい、天然美貌の持ち主です。


一緒に歩いてると、よく姉妹に間違われます……。


どっちが、姉に間違われるかは………………。


私の心が折れそうなので察してください。


叔母さんの旦那さんは、単身赴任中でアメリカへ出張中。


叔父さんは、年齢通りの48歳に見える、一般的なナイスガイな外見の男性です。


叔父さん、お疲れ様です。 頑張ってください。

 

今日の晩御飯のメニューは、唐揚げに、野菜炒めに、湯豆腐。


美莉愛みりあ叔母さんの料理は凄く美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまうのが難点です。


「水姉。 USOの調子はどう?」


私のことを、水姉と呼ぶ目の前に座る少年の名前は〝敷島しきしま 裕司ゆうじ〟君。


美莉愛さんの息子で、私より1歳年下で、一昨日からメデタク桃花高校の1年生。


つまりは私の後輩。


裕司くんも、USOをプレイしている。


プレイサーバーは〝ゼクス〟。


「やっと、GMグランドマスターになったよぉ。」


「くそっ、水姉にも負けた……。」


唐揚げを口に運びながら、裕司が残念そうに言う。


「私にもって事は……。」


そう言って、私は美莉愛みりあ叔母さんの方に視線を向ける。


「私は、三週間ほど前にGMグランドマスターになりましたよぉ。」


笑顔で、美莉愛さんが答える。


「叔母さん早っ!」


叔母さんの言葉を聞いて、私は驚く。


実は、美莉愛おばさんも。


私と裕司くんよりも、2週間ほど遅れてUSOをプレイしだしている。


プレイサーバーは〝ツヴァイ〟。


「プレイしてる時間は、俺たちより短いのに。


なんで、俺たちより先にGMグランドマスターになってるんだか……。」


裕司くんの言葉に、私が同意して頷く。


「美莉愛おばさんの職業ジョブって、錬金術師アルケミストでしたよね?


秘薬代とか、錬金材料とかどうしてるんですか?


おばさん、戦闘得意でしたっけ?」


「水姉。 母さんは生粋の運動音痴だよ。 戦闘なんて出来る訳ないっしょ。」


そうだった……おばさん。


戦闘どころか、縄跳びすらマトモに出来ないんだった。


なのに、何故か太らない体質……羨ましい……。


じゃなくてっ!。

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