第83話

「行くわよ。」


ミリシャが、大きなドアに手を掛けて扉を開く。


体高:5メートルは在る。黒い鎧をまとった騎士が、俺たちを見る。


「うぉぉぉ!!!」


声を上げながら、独楽が騎士に向かって突進する。


突進する独楽に、回復職ヒーラーの人が、防御力向上の魔法を掛けると同時に。


レイドボスが独楽に向かい、手にした片手剣で独楽をの薙ぎ払った。


独楽はレイドボスの攻撃を躱して、懐に潜り込むと。自分の剣でレイドボスを攻撃する。


俺は既に平和ピースを奏でて、他のメンバーが周囲のモンスターを煽動アジテーション


争わている。


僅かに減るレイドボスのHPバー。


炎の壁ファイヤーウォール!」


聖なる光ホーリーライト!」


AT3人の内。2人は魔法で攻撃を開始する。


聖なる光ホーリーライト:スキル★

*聖なる光で周囲を照らして、不浄の者にダメージを与える。


残りの1人は、レイドの後ろに回り込みメイスで攻撃している。


レイドの攻撃を盾で受け止めているにも関わらず。


独楽コマのHPはガリガリ削られている。




 

独楽コマさん!交代!」


ミリシャの声で、独楽コマが後ろに下がり、ミリシャがレイドの前に出る。


敵対値増加ヘイト!」


ミリシャが、ウェポンスキルの敵対値増加ヘイト!を使う。


敵対値増加ヘイト!★

*自分が指定したモンスターの敵対値を上げて、ターゲットを自分に向けるスキル。



敵対値増加・範囲ヘイトオーラ!」


続けて、敵対値増加・範囲ヘイトオーラを使用。


敵対値増加・範囲ヘイトオーラ

敵対値増加ヘイト!スキルの範囲版。



ミリシャは自分からは攻撃せず。


ひたすら防御に専念し。敵対値増加ヘイト!でタゲを外さないようにして居る。


が、それにも関わらず。ミリシャのHPもガリガリと削られていく。




独楽コマさん!御願い!」


そう言って、回復を済ました独楽コマと入れ替わるミリシャ。




敵対値増加ヘイト敵対値増加・範囲ヘイトオーラ!」


独楽コマもミリシャから、レイドのタゲが外れる様に、敵対値増加ヘイト敵対値増加・範囲ヘイトオーラを連続で発動させる。


が、レイドのターゲットロックはミリシャから外れずに。


ミリシャを回復していた、ヒーラーのサヴィネに飛んだ。


敵対値増加ヘイト!!!」


独楽がヘイトを使うが。レイドのタゲはサヴィネから外れずに。


サヴィネに向かって歩を進めた時。


俺は急いで、魅了チャームを奏でた。



俺の魅了チャームスキルで、レイドのタゲはサヴィネから独楽コマに移った。


魅了チャーム

MOBモンスターを高確率で、指定したプレイヤーにターゲットを変更させる事ができるが。

パーティー&フォース、連合&同盟以外のプレイヤーに魅了チャームを使うと、犯罪者フラグが立ってしまい灰色に為る。



それを確認する前には、俺は既に平和ピースを奏でて、雑魚のターゲットを外していた。


独楽コマとミリシャが、何度も入れ替わりながら、ようやくレイドボスを倒す。

 

無事に討伐して、PTLが解体作業でドロップ品をした時だった。



【ミリシャが、アダマンタイト×32を入手しました】


【ミリシャが、ミスリルの鎧×2を入手しました】


【ミリシャが、ミスリルソードを入手しました】


と、メッセージが流れて、パーティーメンバーは大喜び。


アダマンタイトも、ミスリルも。今は余り出回っていないので、高値で売れるのは間違いない。


と、その時。運営サイトからメールが届いた。


俺が微妙な顔をしていると。PTLのミリシャが話しかけてきた。



「イクルさん。どうかした?」


「あ、いや。 運営からメールが届いた。そっちは?」


「来てないよ。」


「「俺も。」」


他のメンバーも声を揃えていう。




「とにかく、見てみるから。 先に帰還しといてくれ。」


「ん、わかった。 売れたら連絡するから。 フレンドしとく?」


「頼む。」


ミリシャとフレンド登録して、PTメンバーは町に帰還して行く。


モンスターがPOPしない所まで移動して。


俺は、ステータスウィンドウを開いて・・・・・固まっていた。


なぜかと言うと、ミリシャが拾った筈の【ミスリルソード】と【ミスリルの鎧】が、俺


のストレージに入っていたからだ。


いぶかしげに思い、過去ログを表示させて見直す。


やはり、俺が拾ったというログは出ていない。


バグ?


と、思いつつ。運営からのメールを見てみる。

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