第37話 イズミ&タミー視点

 12月に入ってフェルーナもクリスマス気分が盛り上がってきてる? けど、女子たちの関心事はそこではないようだった・・・


「オーナーの娘さんってどこの高校へ通ってるのかしら? ユウト君知ってたりする?」

 イズミちゃんが僕にムチャ振りにも似たことを聞いてきた。

「い、いやぁ、さすがに他校のことまでは情報は来ないから、ぜ~んぜん知らないよ」

「そうよね~、同じ高校生だっていうだけでそこまで知ってる訳ないわよね・・」

 そう言ったイズミちゃんは仕事をしながらも、オーナーの娘さんのことをかなり気にしてる様子だ。


>>>イズミちゃん視点

 今のフェルーナはわたし達女子5人とユウト君でバランスが取れている、でも、そこにオーナーの娘さんが入ってくると、みんなの気持ちがどうなれるか分からない・・特にユウト君に対する気持ちが心配だわ・・

 オーナーの娘さんはユウト君と同じ高校生、それだけでもユウト君との距離感はわたし達より十分近いはず、そうなるとふたりは当然接近するだろうし、そんなふたりに対して年上のわたし達があからさまに邪魔したりなんてできないし、ましてや嫉妬なんてみっともないことは避けないといけないんだけど、う~ん、わたしは耐えられても他のにみんなはどうかな・・特に薫ちゃんが危ない気がする・・

「薫ちゃんはおとうさんにもユウト君を会わせちゃてるしね・・」

 でも、そもそもユウト君がここでバイトするようになったのも、あれが理由だったわけだし(ここでいう「あれ」という理由は第9話をどうぞ)、そんなわたし達がユウト君に特別な気持ちを持っちゃったのは計算外だったけど・・

「なんでキミだったんだろう・・う~ん、どうしたものかしら・・」

「イズミ、ボ~っとしちゃって、どうしたのよ?」

 わたし(イズミ)に話しかけてきたのはタミーちゃん。

「あぁ、オーナーの娘さんのことよ、ユウト君と同じ高校生だっていうから、薫ちゃん達への影響が心配だわ」

「あぁ、それね、まぁなるようになるって、イズミが心配したってしょうがないじゃなのよ、娘さんが来てから考えましょう」

 タミーちゃんは至って平静、いや平静を装っているだけかしら?・・・


>>>タミーちゃん視点

 やっぱりイズミもオーナーの娘のバイトのことを気にしてるのね、わたしだって気になるし、オーナーの娘じゃなきゃ速攻で不採用にするんだけど、相手がオーナーの娘じゃ不採用なんてムリだし、下手したらこっちが解雇されかねないし・・

「う~ん、新たな強敵出現の予感・・いまから対策を考えないと手遅れになっちゃうかも・・」

 とはいうものの、どう対策する? だいたいユウトのことはここのみんな、間違いなく気になってるはず、特に薫は危険よね、なんたってお父さんにユウトを紹介までしちゃってるし・・でも、待って・・いろんなことで窓口になってくれてるイズミだって油断できない・・・

 できれば、誰かと協力するのがイイのかもしれないけど、梨絵や有希はユウトをどう思ってるのかどうもしっかり見えてこないし、こんなこと下手にきりだしたりしたらやぶヘビになりかねない・・・

 いやいや、どうせなら、イズミや薫も含めた女子全員で協定を結んで、オーナーの娘がバイトに入ってる期間はユウトのことを守ることにするほうがイイくらいね、そのほうがわたしにとっても好都合かも、ウフフ・・

「でも、みんながノッてくるかが問題ね・・」

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