第90話 新たな仲間たちとの関係
談話スペースで無理やり彼女を座らせてから話を始めた。
「なにか誤解しているようだけど」
「私たちには抱いてもらえるような魅力を感じませんか。
確かに殿下に無理やり傷物にされましたが、直人様のご配慮により今ではすっかり傷も癒えました。
それでも私たちではだめですか。
他の奴隷たちには許されても私たちには許されませんか」
「いやいや。
君たちは十分に魅力的だよ」
「他の奴隷たちだけでなく、あとから来た大村さんとも関係をお持ちになったというのになぜ私たちには、それほど私たちが信じられませんか。
それとも殿下に犯された私たちでは抱く価値も無いのでしょうか」
え、抱いてほしいというのかな。
「何か行き違いがあるようだね。
俺はあんなことをされていたので、そのそういう行為には嫌悪感があるかもと思っていたよ。
俺が間違っていたら正直に答えてほしいのだが、ひょっとして俺に抱かれたいとか」
おいおい、どんなセリフだよ。
俺自身が言っていて顔から火が出そうなセリフだな。
でも、これ以外に俺には聞きようが無いのだからしょうがない。
これで『何を勘違いしているの』的なことを言われたら徹底的に落ち込むぞ。
「え、そんなことをお考えでしたのですか。
私たちはあの儀式の次の瞬間から身も心も直人様の物になりたいと望んでおりました。
いつになったら、誰から抱かれるのかと話しておりました。
許されるのなら今からでも、ここで構いませんのですぐにでも抱かれたいと全員が思っております。
ですのにバスの中であのようなお姿を見せられれば……」
いちゃいちゃしていたのが良くなかったらしい。
「この後の予定はどんな感じかな」
「2時間後に飛行訓練があります。
それまでは各自休憩するように言われております」
「ならこっち来て」 と言って、今度はこの建屋にある『みんなのトイレ』と言って昔は身障者用の介護スペースのある広い個室にファミリアさんを連れて行った。
当然個室に入るときには入念に周りを確認して見つからないようにして入ったが、出るときに不安があるが仕方がない。
その個室でたっぷりとはいかないが30分ばかりかけて頂きました。
すっかり怪我の痕跡も無くなり、血色も良く、ただでさえ美人が、これ以上ないくらいの女性の魅力を全身から醸し出していた。
若い俺にはこの感じは非常に毒だった。
かなり乱暴になってしまったが、彼女を堪能してしまった。
個室から出る時には気を付けて一人ずつ見つからないように個室から出ていった。
しかしファミリアさんの雰囲気は完全に変わっていた。
あれなら経験者なら誰でもわかる『たっぷりと愛されましたね』感をそこかしこに振りまいている。
あの浮かれようはまずくないか。
本日の俺の秘書役をしている尚子さんがすぐそばまできて俺に小声で言った。
「何もこんな場所でやらなくともいいのに」
いやいや、違うぞ。
俺だってさすがにここでやる羽目になるとは思っていなかったよ。
言い訳、言い訳。
「いや、なに。
ファミリアがかなり思い詰めていたので、すぐにでもしないとまずいかなと思ってね」
「そうですね。
彼女たちは直人様に抱かれていないことを悩んでおられたようでしたので、かおりさんも心配しておりました。
近々かおりさんから直人様にお話をするとまで言っておられておりましたので、でもあの様子なら大丈夫ですね。
後は順番で残りの方ともしないといけませんね」
「ああ、その辺りはファミリアさんやかおりさんにでも任せるよ。
今晩からでもいいからね。
伝えておいてほしい」
「そうですね、早い方がよろしいでしょうね。
でないと今度はファミリアさんが浮いてしまいますから。
直ぐにでも電話でかおりさんにお伝えしておきます。
で、この後は予定通りですか」
そうなのだ。
俺の本日の訓練は終えている。
普段ならみんなの訓練の様子を眺めながら終わるのを待って、全員で来た時と同じバスに乗って帰っているのだが、今日はこの後俺の方に予定がある。
大学のサークル活動で、学際に向け準備キックオフをするのだとかで、下北沢で飲み会がある。
別に強制ではないのだが、俺は参加すると伝えてあるので、これから向かうことにしている。
みんなを待ってからだと遅れてしまうので、今日だけは別行動になる。
この予定は一応みんなに伝えてあるので、俺がここでいなくなっても問題はなさそうだ。
「ああ、これから発とうかと思っている。
悪いがタクシーの手配を頼めるか」
「すでに明日香さんが手配済みです。
もうじきハイヤーが来るそうです」
ハイヤーでどこまで向かわせるつもりなのか。
まさか東京までとか言わないよね。
あれだけ女を囲って、贅を尽くしているはずなのにどこまでも庶民感覚が抜けない。
正直駅までタクシーを使わないでもいいかと思ってもいたのだが、ここ茨木空港は正直交通の便は良くない。
高速バスが使えないと、本当に陸の孤島かと思うくらいだ。
近くの駅までタクシーを使って向かっても、そこからが大変なのだ。
かなり距離はあるが霞ケ浦を下って鹿島あたりまで出ないと帰れないかと考えていたが、まあハイヤーで東京までという選択肢もありか。
なにせ俺らは定期便で着いた客じゃない。
定期便の客が来なければ、当然高速バスも来ない。
次のバスは2時間後だとも聞いている。
ぜいたくは敵だと今でもその考えは変わらないが、今回ばかりはやむをえまい。
「本郷さん。
ハイヤーが来ましたよ」
明日香さんが俺を迎えに来た。
俺と尚子は外にいるハイヤーに向かった。
「え?
あれ、藤村さんもこれで帰るの」
「ええ、私は本郷様付きですから、東京まではご一緒いたします」
「榊原さんだったっけ。
彼女は良いの。
彼女もこれで帰るとか」
「いいえ、さすがにこれでもう一人は狭くなりますし、なにより仁美、あ、いえ、榊原は遊びですから。
今回は本郷様のご配慮でご一緒させて頂いているだけですから、みんなと帰らせます」
「そんなんでいいの。
お友達でしょ」
「ええ、きちんと伝えてありますし、大丈夫でしょ」
この狭い車にあいつを入れると直人さんに何をしでかすかわからないってもんじゃない。
とてもじゃないけど一緒にとはいかないわよ。
尤もそんなことは言えないけれどもね。
俺らはそのままハイヤーで東京に向かった。
ハイヤーにそのまま大学に近い下北沢まで連れてきてもらい、俺と尚子さんはそこで降りた。
このハイヤーも外務省ご用達のようだ。
明日香さんは俺らを降ろしてもハイヤーに乗ってどこか別の場所に向かった。
下北沢で奴隷仲間のタリアさんと合流した。
俺の飲み会の最中、近くで尚子さんが待機するために、不自然にならないように二人で俺を待つのだとか。
そこまでして俺についていなくともとは思うが、そうもいかないらしい。
どうせ、この近くに公安もいるのだろう。
今となっては望まなくとも俺はVIP扱いのようだ。
まあ、最近は各国とも落ち着いてはいるようだが、大明や高麗など、あの時に被害を受けた国からは恨まれているのだ。
いつ何時襲われないとも限らない。
というのが彼らの言い分だ。
正直勘弁してほしいと思いながらも、俺は一人で飲み屋居入っていった。
「すみません。
予約が入っているかと思うですけど。
東都大学の…」
「ああ、お連れ様はすでに幾人かは奥でお待ちいただいています。
こちらにどうぞ」
集合時間の30分は前なのにすでに誰かは来ているようだ。
遅れなくて良かった。
俺は店員に案内されるように奥に入ってった。
その後から尚子さん達も店に入ってきたようだ。
二人ともお酒には強そうなので問題ないか。
まあこれから2時間以上の待機仕事だ。
頑張ってくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます