第18話これは…オシャレと言える、のか……?

よくよく見たら俺以外はズボンやシャツのすそもほつれてたり破れていたりする格好だったわ!

……俺だけマトモな服。そらスラムに立ってたら悪目立ちしまくるわ!初期服だから脱ぐ訳にはいかんし、俺の周りの服の向上をするしかねぇ!

新しい服を入手出来ない以上、精一杯のオシャレカットした毛皮ですそを補強する形で貼り付けてみるしかないか。


ナイフでのカットだから複雑な模様は絶対無理。あらかじめカットしやすいデザインを考えねば!

後はアップリケに見えるように簡単なデザインのカットもしておかねば!


……うへぇ…教えながらコレやらにゃならんのかよ。模様無し希望には本人にそのままやらせるのが1番だよな。少しでも作業を楽にせねば。

カットは俺がやる事でスキル取得狙って目に見えない収穫があった事にするか。

そうでもなきゃやってられん。ファッションに今まで興味なかった俺にはキツいんだよ。


外でデザインの説明をするか。その辺に落ちてる瓦礫の破片で地面に書けば伝わるだろ。


「地面に絵を書きながら教えるからこっち来てよ」


「よし、みんな1度家の外に出ようぜ

!」


俺とリーダー…は複数いるから狼耳リーダーと呼ぼう。そのリーダーが牧羊犬よろしく年下メンバーを追い立て、書くのに適した地面まで連れて行ってくれた。


「まずそですそにネズミの毛皮を貼り付けて、ほつれや破れをなくす訳なんだけど」


「ふむふむ、それで?」


「時間掛かるけどナイフで少しは形を変える事が出来るから、ただ真っ直ぐな毛皮を貼り付けるだけじゃなく変化を付けた毛皮を付けれる。

その変化の形はナイフで出来る範囲だから簡単な形しか出来ないけど、バリエーション増やす?」


「実用性ばっかじゃ気持ちに楽しみがねぇし、金が無いなりのささやかなオシャレって事でいーんじゃね?

で、どんな模様を考えてるよ?」


「こーいう波のような感じが精一杯かなー?と。

僕まだナイフ使いこれからだし、ナイフだけじゃ細かいのは無理だから。

それにメインは補強だから、オシャレな模様にする為に補強するべきすそがハミ出しちゃ意味無いしね」


「ほう、確かに俺でもナイフで毛皮を細かく切って繊細な形を作るのは無理だな! それはハサミの仕事だ。

それじゃ、その2パターンでまず裾の手直しから始めるか。

よーしチビ共! どっちの形を貼り付けたいんだ? さあ選べ選べ!」


狼耳リーダーが手をパンパンと叩くと、わ〜!と年少組がどっちがいいかハシャギながら、最終的に男女で見事に別れた。

男の子側は波線にするよりもしっかり破れが隠れてくれる方がいいとシンプルなのを選び、女の子側は波線の形が可愛いからって事らしい。


うん、感性や優先の違いだな。これなら男の子側は自分で切って貰うか。

この感じだとアップリケも実用とオシャレでまた男女に別れそうな気がするし。

次は胸とか腹とか端じゃない所の破れに貼る奴のデザインだなぁ。

あんまり期待しないで欲しいと切実に祈る。マジで切れる自信がねぇのよ。

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