第5話 茶道部に行きます


 翌日。

 俺は朝早く、涼音パパの車で学園まで送られてきた。

 ちなみにこれから毎日こうやって送って貰えることになった。


 外は危ないからね。


 この世界では日が昇っていても男を1人で歩かせるのは危険なのだ。(俺としてはまだ慣れないけど)


 ちなみにまだまだ生徒の数は疎らだ。

 理由は朝かなり早い時間だから。


 涼音が朝練があるらしくて、俺もそれに合わせて来た。

 涼音は自分の用事に合わせたことを謝っていたけど、俺は時間を潰す宛があるので一切気にしてない。。

 今日は茶道部にお邪魔しようと思う。


 話に聞くところ茶道部も朝練してるらしいんだよね。(どうでもいいけど、お茶飲むのになんの練習がいるんだろうか?俺が知らないだけで奥深いのかもしれない)


 色んなことを思いながら俺は茶道部までやってきた。

 茶道部の部室は学園の敷地内の隅っこにある剣道部の旧道場である。


 横開きの扉を開けると中には茶道部の部室があった。

 畳が敷かれており、和を感じる部屋。

 その真ん中に和服の少女が座っていた。


 佐渡さんだ。

 俺が急に入ってきても微動だにせず、お茶の入ったコップを見つめていた。


 特に何も言わないけど……入っていいんだろうか?


 めっちゃ集中してるように見える。


(いつ来てもいいって言ってたしな)


 上がらせてもらおう。

 あと集中してるし今は話しかけない方がいいだろう。


 中に入ると佐渡さんの対面に座った。


 俺もお茶の中を見る。

 佐渡さんが着ている和服の間から時折覗く谷間にも目をやることは忘れない。


 そうして、数分が過ぎた。

 その頃には、俺はお茶を見ることはなく、谷間ばかり見ていた。


(けっこう胸でかいよな。この人)


 その時だった。


「​──────立ちましたね?」


「ふぇっ?」


 佐渡さんは伏せていた視線を上げた。


 俺の目を覗き込むようにしていた。


(バレちゃったのか?立ったのが)


 そりゃ、立つよ。

 この人エロいもん。


 だが、ここは貞操逆転世界。

 俺は期待してしまう。


(立っているのがバレたら、襲われたりして?)


 少しだけ期待していたが……。


「茶柱が立ましたよね?」


(あっ、そっちの話……ね。漫画とかでありがちなそういう、テンプレ展開なのね)


 カップに目を戻す。

 茶柱が立ってるとこ見てみたい。


「って、立ってないじゃん」


「いや、立っています」


 佐渡さんの視線に気付いた。


 この人、俺のちんこをみていた。


 う〜む。


「たしかに、しっかり立ったかも」


 そのとき、佐渡さんは思いもよらない行動に出た。


「せいっ!」


 お茶の中に手を突っ込んだ。


(なにしてるの?)


 見ていると強引に茶柱を立てた。


「立たぬなら、立たせてみせよう、茶柱。というわけで、飲むと幸運になれそうなお茶になりましたね」


 思ったより変わった人だったな。もっと真面目そうな人を妄想してた。

 つーか、俺がどこの誰か聞かなくていいのだろうか?


 そう思っていたら彼女は口を開いた。


「茶道部によく来てくれましたね。優馬くん」


 あ、知ってるんだ、俺の名前。


「人生相談をする相手に私を選んでくれたこと嬉しく思いますよ」


(もう涼音に相談したんだけど、まぁいっか)


 佐渡さんはお茶の入ったコップをていねいな所作でこっちにスライドさせてきた。


「とりあえず飲んでくださいな。優馬くん。私が手間暇かけたお茶です。おいしいですよ」


 目の前で手を突っ込まれたお茶。

 抵抗感がないでもないけど……。


 手を突っ込んだのが巨乳の美少女なので、そんなことは些細な問題である。


「いいの?」

「もちろん、お飲みください。今なら茶柱が立っていますね?ダブルで」


 コップの中には茶柱1個だけ。

 もう一本の茶柱は……言うまでもないだろう。


「今なら茶柱2本分の幸運度アップですよ?ささっ、グイッと」


 飲んでみるか。


 ゴクッ。


 まぁ、普通のお茶だった。

 そのまま飲んでいく。


 温度は丁度いいくらいでヌルッと飲むことができた。


「今、私の手のエキスが入ったお茶が優馬くんの喉元を通過しましたね?」


「げほっ!(突然何を言うんだ?!)」


 お茶を口に含んでたら間違いなく吹き出しただろう。

 すぐに飲み込んでいたから助かったけど。


「そのまま食堂を通り、胃の中へ。そして、優馬くんの胃の中で消化されて、私たちは一体化するのです」


(もしかして、ちょっとやばそうな人?)


 そこでスゥッと目を細めた佐渡さん。

 まるで今から大事なことを言いそうな雰囲気。


「これって、実質セック〇だと思いませんか?」


 まるで決めゼリフのようにそんなことを言っていた。


 俺が言うのもなんだけど。

 この人、頭のネジ何本か外れてない?



 しばらく、時間を置いて落ち着いた。


「佐渡さんは誰に対してもこんなことやってるの?」

「まさか」


 肩を竦めていた。


「私の事ビッチかなにかだと思っていますか?私はあなたに一目惚れをしたので、こういったアプローチをしただけですよ」


 ド直球に言ってきたなぁ。


「率直に申しまして、優馬くんとお付き合いしたいと思いまして」

「俺彼女いるんだけど。結婚も考えてるし」


 ただまぁ、涼音は浮気を許してくれてる。


「では、私とも結婚を前提にお付き合いしましょう」


 話を聞いてたのだろうか?意味不明なことを言ってる。

 それとも、この世界一夫多妻が認められてるのかな?それなら意味不明でもないけど。


 まぁ、細かいことはどうでもいいか。

 だって、俺の脳みそ股間についてるもん。


「分かった。俺、佐渡さんと付き合いたい」


 その巨乳を俺のものにしたい。


  すっ。

  佐渡さんは頭を下げてきた。


「よろしくお願いします優馬くん。私が精一杯あなたをお守りします。私のことは静香と読んでください」

「分かったよ」


 静香は立ち上がると部室の中にあった机に向かった。

 引き出しを開けるとA4くらいの紙を取り出してきた。


「プロフは拝見しております。部活には入ってないみたいですね?ぜひ茶道部に入りませんか?」


「茶道部ってなにするの?」


「葉っぱからお茶作って飲んでるだけですよ。簡単でしょ?」


 そう言われたら簡単に聞こえる。

 まぁ、静香に会いに来るためにも入っておこうかな?


 入部の意思を伝えると、静香は押し入れから和服を取り出してきた。


「どうぞ、男子用のユニフォームです。着付けしましょうか?」

「うん、お願い」


 静香は鼻息を荒くすることもなく、俺の服を脱がしていった。

 基本的にはやっぱり上品な人だ。


 これ、逆の立場だと俺なら絶対呼吸は荒くなる。


「ふぅ、これで着付け完了です」


 ものの数秒で着付けが終わった。

 新鮮だな、普段こんな服着ないし。

 部室にあった姿鏡の前で自分の姿をみていた。


(これが茶道部のユニフォームなのか)


 静香は俺の後ろに立つ。鏡で反射するから彼女の姿ははっきり見えていた。

 何故かわからないけど鼻血を流していた。


「大丈夫?静香?」


「これは、エロすぎますね。究極のエロの芸術」


 そう呟いてた。

 どこにえろの要素があるんだろう?

 俺にはまったく分からない。


 静香はスマホを取りだした。


「新入部員のこと、部のグループチャットで伝えたいんですけど、写真を撮ってもよろしいですか?一応顔は隠しますよ。誰が保存するか分かりませんからね」


「うん、いいよ。部員の人とは早く仲良くなりたいしね」



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