Shining Smile

君にこんな話をしてあげよう


昔ある所に 一人の貧しい少年がいた

笑い方も忘れて 傷だらけの幼い足で 歩き続けた

そして一人の小さな少女に出会った

彼女は少年に 小さな笑顔をくれたんだ


幼い手を繋ぎながら 何処までだって行けた

少女の手を掴みながら 少年は呟いた


「寂しくはないよ 怖くもないよ 何も心配する事はないんだ

君が笑い方を教えてくれたから 僕は大丈夫だよ」


少し背が高くなった少年は 握った小さな手を離した

少女は明日遠くへ行くよ

大丈夫 涙は流さない

少女が彼に 笑い方を教えてくれたから


最後の時が来るまで 二人は手を繋ぎ続けた

少女をその腕に抱きしめながら 少年は呟いた


「寂しくはないよ 怖くもないよ 何も心配する事はないんだ

君が笑い方を教えてくれたから 僕は大丈夫だよ」


大人になった貧しい少年は 街角のパンを盗んだ

薄暗い部屋で震えながら 彼は自分の人生を呪った

墓石が並ぶ丘の上で 彼は空へと祈りを捧げた

青過ぎる空を見上げて 彼は呟いた


「寂しくはないよ 怖くもないよ 何も心配する事はないんだ

君が笑い方を教えてくれたから 僕は大丈夫だよ」

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