第73話 そんなこと言ったってしょうがないじゃないか
待ち構えていた軍隊を見て、鬼童丸は苦笑するしかなかった。
「これはヘルストーンが使われた後じゃね?」
「ヤミもそう思う。ノーマルのエリアボス戦とレベルが違うよ」
宵闇ヤミも鬼童丸に同意して戦いの覚悟を決める。
「「
2人は自身の従魔全てを召喚した。
実際のところ、デスジェネラル率いる敵軍はフレッシュゴーレムやガシャドクロに比べれば大したことはない。
だからこそ、鬼童丸達に焦りはなかった。
冷静に鬼童丸は乱戦モードでよく使うセットコマンドを使用する。
リビングフォールンに【
これにより、味方へのバフと敵へのデバフに加え、敵はアビリティが使えなくなったから十全に力を発揮できないまま通常攻撃しかできない。
ここからは攻撃のターンであり、フロストパンツァーに【
そして、ドラクールの【
「ちょっと鬼童丸さん! ヤミにも残しといてよ!」
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」
「ちっくしょ~!」
宵闇ヤミもセットコマンドでどんどん敵を倒しており、気づけば敵はボスのデスジェネラルだけになった。
順調そうに見えるかもしれないが、鬼童丸と宵闇ヤミは次の瞬間にそれぞれの顔を引き攣らせる。
驚くべきことにまだ効果時間内のはずなのにデスジェネラルが沈黙状態から復帰し、【
「ゲッ、強制解除とかマジかよ」
「めんどくさっ!」
鬼童丸と宵闇ヤミが嫌そうな顔をしていると、配信のコメント欄では愉悦勢のヤミんちゅ達が「もう1回遊べるドン♪」と続けて投稿した。
そのコメントは宵闇ヤミにしか見えていないため、鬼童丸の方がイライラ度合いはマシだ。
もう一度リビングフォールンとアビスライダー、ヨモミチボシのバフデバフコンボを行い、フロストパンツァーとレギマンダーで範囲攻撃を行って敵軍を蹴散らす。
デスジェネラルまでの道が綺麗になったため、宵闇ヤミの従魔達が一斉にデスジェネラルに攻撃を仕掛けるのだが、HPが残り1割を切った時に【
【
HPを半分失った時に【
無敵状態が切れて【
「ドラクール、【
「承知しました」
鬼童丸の指示に従い、ドラクールが【
『鬼童丸がLv73からLv75まで成長しました』
『鬼童丸が称号<名誉足立区長>を獲得しました』
『鬼童丸の称号<鏖殺子爵(新宿・文京・中野・荒川・杉並・武蔵野・三鷹・調布)>と称号<名誉足立区長>が称号<鏖殺子爵(新宿・文京・中野・荒川・杉並・武蔵野・三鷹・調布・足立)>に統合されました』
『ドラクールがLv6からLv10まで成長しました』
『ドラクールの【
『アビスライダーがLv8からLv12まで成長しました』
『リビングフォールンがLv1からLv4まで成長しました』
『レギネクスがLv1からLv4まで成長しました』
『フロストパンツァーがLv1からLv4まで成長しました』
『フロストパンツァーの【
『ヨモミチボシがLv1からLv4まで成長しました』
『デスナイトとデスランサー、デスアーチャー、デスメイジを50枚ずつとデスジェネラルを1枚手に入れました』
『足立区にいる野生のアンデッドモンスターが全滅したことにより、足立区全体が安全地帯になりました』
『安全じゃない近隣地域のNPCが避難して来るようになります』
(まだ伯爵になれないか。次あたりになれそうな気がするけど)
現在9つのエリアの統治権を有しているが、それでもまだ子爵ということは10ヶ所目のエリアを統治することで伯爵になれるのではないかと鬼童丸は予測した。
上手くいけば明日には伯爵になれそうなので、それは明日の楽しみとして取っておく。
「鬼童丸さん、伯爵になれた?」
「残念だけどまだなれてない。多分、あともう1ヶ所統治すればなれると思うけど」
「そっか。じゃあ、明日のこのチャンネルで伯爵になるのを間近で見守ることにするよ」
「そりゃどーも」
鬼童丸と宵闇ヤミが話していると、そこに総合スポーツセンターの中に立て籠っていた生存者達がやって来て、鬼童丸と宵闇ヤミに感謝した。
タナトスとヘカテーが来て転移魔法陣をした時、デスジェネラル戦はヘルストーンが偶発的に効果を発揮されたことで起きてしまったため、よく無事に収束させたと鬼童丸は褒められた。
褒めてもらって良い気分ではあるが、鬼童丸は丁度良い機会だからタナトスに質問してみる。
「タナトスに質問したいことがある」
「なんだ?」
「今の俺の従魔のバランスを見て、7体目と8体目の従魔はどんな従魔が良いと思う? タナトスの意見が欲しい」
「なるほど。では、其方の使役するアンデッドモンスターを全て見せてみろ」
鬼童丸からアドバイスを求められ、タナトスは鬼童丸に全ての従魔を見せろと言った。
宵闇ヤミも鬼童丸が面白いことをやっていると思い、自分も真似してみようとヘカテーにアドバイスを求めていたから、鬼童丸は今だけ宵闇ヤミのことを考えずに自分の従魔のことだけ考える。
攻撃と回復のバランスが良く移動手段としても優秀なドラクール。
避けタンク兼デバッファーのアビスライダー。
バフとデバフ、状態異常まで対応する支援職だが接近戦はこなせるリビングフォールン。
とにかく敵を焼き尽くして死んでも経験値と引き換えに蘇るレギネクス。
移動手段ではあるものの攻撃や支援もできるようになったフロストパンツァー。
ヘイト操作やデバフ、状態異常で他の従魔を助けるヨモミチボシ。
鬼童丸は自画自賛になるが、かなり良いバランスで従魔を使役していると思っている。
その感想はタナトスも抱いていた。
「ふむ、かなりバランス良く使役してるな。次に使役するタイプに悩むのも頷ける」
「タナトスに褒めてもらえると自信がつくね。それで、タナトスならどうする?」
「私なら今使えない属性のものか、防御に振り切れたものを次に使役するだろうな」
「前者はぼんやりと考えてたけど、後者の方は考えてなかったな。ちょっと考えてみる」
タナトスからアドバイスを貰い、鬼童丸はモンスターカード一覧で
(どうせなら単体攻撃だけじゃなくて、全体攻撃も防げるような従魔にしたいな)
いくつかの組み合わせを作った後、これはと思う組み合わせで
その素材になるアンデッドモンスターとは、デッドトレントとチートディーラー、デスジェネラルのボスアンデッドモンスター3体である。
その光はアビスライダーが誕生した時と同じぐらい眩しく、この場にいる他のメンバーが全員この融合に目を奪われた。
エフェクトが収まったら、鬼童丸は新たな
「
召喚されたデスマスクラウンは不気味なデスマスクを装備した道化師だ。
どんなアビリティを持って誕生したか気になるから、鬼童丸はすぐにそのステータスを確認する。
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種族:デスマスクラウン Lv:1/75
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HP:2,400/2,400 MP:2,400/2,400
STR:2,300 VIT:2,500(+200)
DEX:2,400 AGI:2,400
INT:2,300 LUK:2,500
-----------------------------------------
アビリティ:【
【
【
装備:メタルデスマスク
備考:なし
-----------------------------------------
(打たれ強くて反撃もできる従魔か。想像以上の成果だ)
デスマスクラウンの誕生にタナトスは一瞬驚いたが、鬼童丸ならば上手く使役できるだろうと頷いた。
タナトスのお墨付きも貰えたので、鬼童丸はホッとするのと同時にアドバイスを貰って正解だったと思った。
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