なんでこの人がこんなに好きなんだろう?
- ★★★ Excellent!!!
ポリアモリー?
わたしは初めて触れる言葉でした。
現代は多様性の時代、多数派だろうが少数派だろうが、等しくありのままを受け入れることが大事な時代になりました。この物語はそんなことの重要性、当たり前であることの大切さ、そんなことを強く訴える作品だと感じました。
この物語の中心にいるのが、そのポリアモリーのヤマシロさん。落ち着いていてセンスのいい雰囲気漂う魅力的な中年男性です。
彼には曜日ごとの恋人がいて、二人は男性、一人は女性です。とくにこの女性のコンパルさんはまだ大学生なのですが、歳も離れた、また一般的な男性とはかなり趣の違うヤマシロさんに惹かれていきます。
このコンパルさんの感性がまた独特で、彼女の心情が奇妙で美しい描写で語られていきます。ヤマシロさんに惹かれる理由が、そんな文体から立ち上ってくるのが、この作品のもう一つの魅力でした。
さらにこのコンパルさんを中心に、交わることのなかった二人の恋人とも接点が生まれ、ゆっくりと平穏な生活に波風が立ちます。でもさすがはヤマシロさん、多少の動揺はあっても、これまで通りの自分であり続けるんです。
それがポリアモリーというものなのかな? と思いつつも答えが出ることはありません。出す必要もないということにゆっくりと気づかされていくような、そんな不思議で魅力的なストーリーでした。
文体や表現の独特さ、キャラクターの魅力、知らない感性に触れる魅力、そんなものをめいっぱい詰めこんだ読み応えのある力作でした!