第96話 勝利の凱旋
「ほらミュウちゃん、見えてきた! ノルディアスだよ!」
シャルの声が、馬車の
朝日を浴びた街の
石造りの建物が、オレンジ色の光を反射して
(3日かぁ……長かったような、短かったような)
それから
空気は冷たく、まだ春の
そして
一部の家具が
(みんな
子供たちは
お年寄りは
……でも正直、あれは結構MPを持っていかれた。
子供
でも、なんだかんだ
「あ! ミュウちゃん見て!
「!?」
シャルの指さす先に目を向けると、
風に
どうやら、北方の村々から
村の代表たちが、色とりどりの旗を手に整列している。
その後ろには、
風に
遠くから聞こえる
(うわ、たくさんいる……やばい。このままじゃMPが
思わず、
人の数が多すぎて目が回りそうだ。たくさんの視線が
シャルの背中から伝わる体温が少しだけ安心感をくれる。
「
シャルが
馬車が人だかりの前で止まると、
木の
馬のいななきと、興奮した人々の足音が
「
「ありがとうございます!」
「聖女様、本当にありがとう!」
……ほんとは降りたくなかったけど、さすがに
シャルもまた馬車から飛び降り、
「みんなー! 無事でよかったね!
シャルの問いかけに、村の代表の
「はい、聖女様の
(よかった……。本当に)
心の中でそうつぶやきながら、
「それにしても、まさかあんな
「むしろ、
老人の後ろで、村人たちが
子供たちが元気に
お年寄りたちは
そんな光景を見ていると、シャルが
「よーし! じゃあみんな、ありがとね! あたしたちはもう行くよ。ギルドマスターも待ってるはずだし!」
シャルの声に、人々が動き出す。
その間を
背後では、村人たちの
■
ノルディアス
いつもは
木製の
窓から
「それでは、ミュウ
ギルドマスターのヴァルトが、
着ているローブは
深い緑色の
それでいて若く整った顔立ちのせいか、やや
「お
その音が、
木製の
(か……
思わず
「それと、改めて。お
ヴァルトの声が、
「しかしですね。規則
「祝いの場だぞコラーッ!」
「
「ええい、静まりなさい!」
ヴァルトの話に
まだまだブーブー言っていた
「オホン……では、これより
ヴァルトが手にした小箱から、銀の
もう一つの
その
「ソルドス・カストルム。あの
ヴァルトが静かに語り始める。
ホールの
「千年前の記録によれば、多くの村が
しかし今回は、お
精神回復
ホールには再び
「お
「ん? オッケー、いいよ!」
シャルは明るく答える。ヴァルトはギルドを出て、ゆっくりと歩いていく。
街並みが
灰色の
周囲には
ノルディアスの
街の治安を守る重要な
(……ろ、
階段を下りていくにつれ、空気が冷たく、重くなっていく。
「リューク……という男を覚えていますか」
「あー、えっとー、石の密議のリーダーだっけ? なんか強かった気がする」
「ええ。そのリュークが
最下層に着くと、ヴァルトが重い
石の密議のリーダー、リュークの
以前の姿からは想像もつかない、
その光の中、リュークの顔は
「ほう……聖女様とその相棒か。なぜ
リュークの声は、予想以上に冷静だった。
その目は、以前のような
……ていうか、聖女の話なんで知ってるの。まさか、ここで新聞とか読めるの?
「あなたの言っていた、ノルディアスが備えるべき『外敵』。
あれは、ソルドス・カストルムのことだったのか?」
ヴァルトが
「ソルドス・カストルムだと? ふん……。
リュークは、ゆっくりと顔を上げた。その
「あの
リュークの声が、冷たく
その言葉に、
この男の言う「
「何を言っているの?
シャルが
「我らの備えを受け入れなかったお前たちには関係のないことだ。さあ、帰れ」
リュークは再び
その表情からは、もう何も語る気がないことが伝わってくる。
「……そうですか」
ヴァルトは深いため息をつき、
重い
金属の
外に出ると、昼の陽気が
風が
肺いっぱいに
「はぁー! なんなのあの人!
シャルが大きく
「まあ、あの
シャルは何気なく言う。その声には、いつもの明るさが
(でも……)
街を見下ろす高台に立ち、
風が
リュートの
ソルドス・カストルムは千年に一度現れる。
そして
この周期的な出来事は、本当に
「ミュウちゃん? どうかした?」
シャルが心配そうに
遠くで祝賀の花火が上がり始め、その光が
「……ちょっと、考え事」
「そっか! ていうか
シャルが親しげに笑う。その
(そうだね。今は……)
そのためにも、まずは目の前のことから。
「あ! そうだ!」
シャルが
それから、
「実はさっき思い出したんだけど……ミュウちゃんに、大事な話があるんだ」
「……?」
その
背後では、花火の音と
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